




1970年代以降の関西電力管内の需要増に合わせ、関西地域では7か所の火力発電所を建設することとなった。その一つとして、人工島に火力発電所を建設することとなり、1950年の港湾法により地方港湾に指定された御坊湾が対象となった。しかし、地元情勢の変化に伴い、1969年の御坊市からの誘致から竣工までに10年近くを要した。
1980年に御坊火力発電所埋め立て造成に着手し1982年完成する。1984年9月関西電力御坊火力発電所1号機が操業を開始した。同発電所は、既存漁港の機能保全、海生生物の環境保全など漁業との共存をはかるため、我が国初の外洋に面した人工島方式(面積約35万m2)の発電所として建設された。1から3号機までいずれも発電電力は石油を燃料とした600MWと大規模なものであった。
人工島の建設地点は、紀伊半島西海岸線のほぼ中央部沖合にあり、直接外洋に面しているため気象・海象条件が厳しいうえしばしば大型台風が来襲する。人工島の建設地点の選定にあたっては、地元御坊市の誘致が非常に大きな要因ではあるが、そのほかに下記の理由が挙げられる。
1. 基本水準面が2~17mと比較的浅く、強固な地盤をもち、埋立に必要な土砂が近隣から入手できる。
2. 大気、海域環境が清浄な地域であり、環境保全対策を講じることにより、発電所の立地が可能である。
3. 大型船舶の航路に近く、また、人工島の北側は浚渫することなく港湾施設を設置することができるので、燃料油等の海上からの搬入が容易である。
紀伊水道に面し、北には県立自然公園「煙樹海岸」を望む御坊発電所は、日本で初めて外海(太平洋)に造られた人工島方式の発電所となる。人工島の規模は、埋め立て土砂約300万m3、敷地は東西870m、南北400mのほぼ長方形となり、甲子園球場の約9倍の面積となっている。
人工島は、埋立面積を必要最小限とするために、南東、南西隅の隅切りを行った(土木施設の概要を表1に示す)。四周の護岸は、ケーソン式護岸と捨石式護岸から成り、揚油岸壁は5000t級タンカー2隻が同時接岸可能な構造とした。そのために、人工島北西部に200mのケーソン式防波堤を設置した。人工島の埋立は、1工区と2工区に分けて施工した(図2、3)。埋立土砂は総量300万m3のうち、80万m3は淡路島より底開式土運船で海上輸送し、残り220万m3は埋立地東側の御坊市都市計画事業により出土する山土を長距離ベルトコンベアで搬入した。
自然豊かな環境の中、周辺の景色にあった色彩設計が施され、塩害に強い苗木約23万本を植栽し、環境に配慮した発電所となっている。
大容量のミドル火力発電所として運用するため超臨界圧変圧貫流ボイラーが採用された。さらに、(1)変圧運転方式を採用する、(2)再熱方式は1段とする、(3)ボイラーの構造およびシステムを変圧運転に適したものに改良する、(4)コンピュータによる高度な制御方式を使用するなど、他の大容量火力発電所とは異なる措置を講じてミドル火力としての性能を確保した。
関西の電力需要が減少傾向にある中、関西電力の火力発電所全体を効率的に運用していくため、2号機を2019年4月1日に休止した。運転を開始してから40年以上が経過する本発電所であるが、人工島での火力発電所建設の経験は、他の電力会社にも引き継がれ、建設運転されている。(鈴木浩)
1) 関西電力五十年史、2002
2) 関西地方電気事業百年史、1987
3) 錦織達郎:御坊火力発電所の人工島の建設、土と基礎、34-1、地盤工学会、pp.43-47、1986
4) 関西電力:火力発電所における配管肉厚の自主検査結果について、2004年12月27日プレスリリース、https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2004/1227-3j.html