電力
発電所
P012

奥津第二発電所

  • Okutsu No. 2 Power Station
  • 所在地/発電所:岡山県苫田郡鏡野町
  • 構造形式/水路式発電:最大出力15,200kW、半地下式発電所:地表面から水車中心までの深さ68.1m、養野逆サイフォン:全長665m
  • 事業者/中国電力
  • 着工/竣工年月/1980.3/1986.10(1号機)、1987.10(2号機)、1995.6(4号機)、1996.4(3号機)(発電開始)
  • 設計者/中国電力
  • 施工者/発電所:奥村組、鴻池組、大本組、同和工営共同企業体/養野逆サイフォン:三井造船
  • 所有者/中国電力
  • 受賞/文化財/ -

建設経緯

吉井川は、岡山県と鳥取県の県境に位置する三国山を源流とし、瀬戸内海に注ぐ延長133kmの1級河川である。吉井川水系における水力開発は、1910(明治43)年に津山電気が井坂発電所(200kW)を建設したことに始まり、その後、1916(大正5)年に羽出発電所(2,350 kW)、1920(大正9)年に入発電所(1,600kW)、1922(大正11)年に高架式水槽の布江調整池を有した久田発電所(9,000kW)、1928(昭和3)年にバットレス式の恩原ダムを有する平作原発電所(2,900kW)、1930(昭和5)年に上斎原発電所(2,700kW)、1932(昭和7)年にバットレスと高架スラブを複合した奥津調整池をもつ奥津発電所(7,400kW)が建設された。

奥津第二発電所は、国土交通省の苫田ダム(2004年完成)の建設に伴い久田発電所が水没することから、水資源の有効利用を図るために、久田発電所の上流に位置し、老朽化した羽出発電所も統合して、再開発されたものである。吉井川の取水ダムは、既存の羽出発電所の取水ダムが国指定の名勝奥津渓に位置することから、景観に配慮して、改変を極力少なくして再利用し、同じく羽出西谷川取水ダムも一部改修、羽出川取水ダムはそのまま利用することとした。吉井川、羽出川で取水した水は、新設された延長7.5kmの導水路を通り、水槽から水圧鉄管を経て、発電所までの132.6mの有効落差を利用して、15,200kWを発電した後、苫田ダムの貯水池内に放流するものである。工事は2000(平成12)年3月に着手し、2002(平成14)年9月に発電を開始した。

施設概要

発電所の立地は、地質調査の結果判明した弱層帯の存在や近傍で生育が確認された希少猛禽類への影響、苫田ダムの工事関連用地との調整、ダム貯水位による影響を考慮して選定された。発電所は半地下式で、構造的に有利な円形立坑(内径15m、深さ約76m)を採用し、発電所基礎、水圧鉄管、余水路の一体化を図り、NATM工法で掘削された。

また、導水路の中間部には谷部があり、トンネル迂回路、蓋渠、逆サイフォン管を比較検討した結果、経済性、地形と地質、周辺地下水への影響等を考慮して、逆サイフォン管が採用された。逆サイフォン管は周辺環境への影響を考慮し、全線地中埋設されているが、養野川と東養野川の部分のみ露出管となっている。両端に流入槽、流出槽を設け、延長は約665m、最大設計水頭は52.3m、管は鋼鉄製で、径は2.4mである。

戦後土木施設としての特徴・評価

地表面から水車中心までの深さ68.1mは、半地下式発電所としては建設当時、国内最深であった。また、養野逆サイフォン管の長さ665mも国内最長である。(樋口輝久)

-参考文献-

1) 中国電力株式会社:奥津第二発電所パンフレット

2) 佐々木治夫,槇原豊博,今岡保則:奥津第二発電所建設工事の計画概要,電力土木,No.289,pp.943-945,2000.

3) 中国電力(株) 奥津第二発電所:奥津第二発電所建設だより,電力土木,No.291,pp.139-140,2001.

4) 槇原豊博,山本康治,入江彰:奥津第二発電所 発電所立坑工事の設計と施工,電力土木,No.295,pp.62-66,2001.

5) 佐々木治夫,末國光彦,金元高志:奥津第二発電所TBM工法を用いた導水路トンネルの設計と施工,電力土木,No.297,pp.48-52,2002.

6) 今岡保則,舞田裕之,河内友一:奥津第二発電所 導水路逆サイフォン管の設計と施工,電力土木,No.297,pp.53-57,2002.