







新福島変電所は福島第一原子力発電所1号機の建設に合わせて、首都圏への電力送電のために同発電所から約20km離れた内陸部に開閉所として建設が始まり、1972年に275kVの福島幹線により運転を開始した。1975年には500kV送電を開始し、275kV/500kV、1,000MVA主変圧器を2台設置して、新福島変電所として開所している。新福島変電所からの500kV送電線は東京電力の房総線、新袖ヶ浦線に続く重要な送電系統となった。
500kV送電が開始された翌年の1976年には電力融通の安定化を図るため、東京電力と東北電力の間で新福島変電所を系統連系地点とした運転が開始されている。日本における系統間連系は1959年の東京電力と東北電力間での275kV連系運用が初めてであった。1995年に500kV連系運用が開始されると連系送電能力は飛躍的に増大している。
関西電力と四国電力の間においても系統連系を強化するため、2000年に紀伊水道直流連系設備が直流±250kV方式で運開している。
変電所の機器は多段式(3段)に造成された敷地に設置されており、上段の山側には500kV開閉装置、中段エリアには変電所本館と500kV主変圧器、下段エリアには275kV機器が配置されている。主変圧器は1台当たり容量1,000MVA、重量は約170tであり、当時日本最大級であった。上段のエリアには、据付け時期の違いにより碍子構造の開閉装置とガス絶縁によるタンク構造の開閉装置が併存しているが、ガス絶縁開閉装置は碍子構造の開閉装置よりも機器の重心位置が低く、耐震性能が高い。
新福島変電所は変電設備に加えて、沢水処理に必要な地下式ボックスカルバートが敷地内に埋設されている。また、海岸から10km程度の地点にあるため、塩分を含んだ風雨が変電所のブッシングの碍子表面に付着しても高い絶縁性能が保てる装置が設置されている。塩分付着密度測定装置は碍子表面の塩分付着密度を監視する装置、碍子洗浄水タンクは塩分付着密度が管理値を超えた時に使用される洗浄水を蓄えておく地下タンクで、課電状態でも碍子表面を洗浄することが可能となっている。
2011年に発生した東日本大震災では碍子構造の高電圧開閉器も被害を受けたが、新福島変電所では県内の再生可能エネルギー普及に向けた機器改修工事や送電線接続工事が進められ、2017年3月には130MWの再エネ接続が可能となった。
一般に、500kVクラスの変電所では、工事用資材や機器の搬入、据付け後の保守性などを考慮して、敷地全体を同じ高さにすることが前提となるが、新福島変電所は土木工事技術を駆使して、山間部の側面に敷地を確保するという課題を解決している。
新福島変電所は敷地内の段差が不可避なため、異なる電圧階級の設備ごとに敷地を分けている。敷地全体の高低差は、基準地点において上段と中段エリア、中段と下段エリアではそれぞれ12mと6.3mであるが、500kV機器が設置されている上段エリアの場合、回線の引き出し方向が約130m、主母線に沿った方向が約540mの広さであり、建設時の掘削やり盛土による土工量が全体で50万m3になった。(稲葉正明)
1) 東京電力(株):電力会社における周波数調整と会社間連系について、2003年9月12日、http://www.re-policy.jp/keito/2/030912_09.pdf
2) 資源エネルギー庁:福島における再生可能エネルギーに関する取組と福島新エネ社会構想、平成27年度エネルギーに関する年次報告、第2章第4節、pp.87-92、2016
3) 300号記念「50年を振り返って」、電力土木、No.300、2002
4) 福島県再生可能エネルギー復興推進への協力、https://www.tepco.co.jp/fukushima_hq/reconstruction/images/souden1.pdf?form=MG0AV3