電力
変電所
S003

高輪変電所

  • Takanawa Substation
  • 所在地/東京都港区高輪
  • 構造形式/変電所出力:1,080MVA/主変圧器容量・台数:建設当時 275kV/66kV 3台、66kV/22kV 3台/地下および地上部高さ:地上3階、地下7階(GL~底盤36.4m)/延べ床面積19,800m2(地上部250m2,地下部19,550m2)
  • 事業者/東京電力株式会社
  • 着工/竣工年月/1982.7/1989.6
  • 設計者/非公開
  • 施工者/非公開
  • 所有者/東京電力パワーグリッド株式会社
  • 受賞/文化財/ -

建設経緯

高輪変電所は、東京都南西部の発展に伴う周辺変電所の重負荷対策と供給信頼性確保のために建設された地下変電所である。この地域の電力構成は家庭や日常用途が90%を占めている。

都心部へ送電する電力は首都圏を囲む500kV環状送電線を経由して都心の275kV超高圧変電所へ送られていたが、高輪変電所の建設は都市の中心部を南北に横断する275kV地中送電線の重要な連系拠点変電所として位置付けられ、1982年7月に着工し、1989年1月に部分運用を開始、同年6月に全面運用を開始した。

建設地は住宅地に近く、変電所には上部建物があるため、周囲環境に慎重に配慮しながら工事が進められた。 また、建設地付近には自然湧水による池があるため、その水量が減少しないように水脈調査と環境調査が行なわれている。高輪変電所が建設された後も、都心部での新たな変電所建設が必要な状況は続いているが、屋外に建設するスペースの確保は困難なため、ビルの地下あるいは内部に設置する検討が続けられている。

施設概要

高輪変電所は地上3階、地下7階建てで、最深部は地表から36.4mの深さがあり、延べ床面積は約2万m2の規模となっている。変電所の鳥観図および地上部分を図2に示す。変電所は地下の制御室、変圧器および275kV、66kV、22kVの開閉装置などから構成され、変電所から引き出される回線数は合計60を超えている。

また、需要家に近い都心の変電所であるため、66kVおよび配電系統の電圧となる22kVの回線数が最も多い。22kV回線には設備の縮小化に効果の高いエポキシ樹脂を用いた固体絶縁開閉装置が設置されている。275kV回線にはガス絶縁開閉装置が設置されており、電力を効率よく送電するために150MVAの容量をもつ分路リアクトルが3台設置されている。

最重量の275kV変圧器は最下階に設置され、中間階にはケーブル処理設備、上部階にはGISが設置されている。主要変圧器や分路リアクトルなどの絶縁油を水冷却する大容量密閉型の冷却塔は地下1階に設置されており、高輪変電所より前に建設された地下変電所では建屋上部に設置されていた設計に比べて、周囲環境に配慮した構成になった。

戦後土木施設としての特徴・評価

大型の主要変圧器は工場からトレーラーで運ばれ、地上部に設けられた開口部から門型クレーンを使って地下7階まで降ろされ、圧縮空気で変圧器を浮かせながら移動するエアパレットを使用して、所定の位置に運搬・据え付けを行うなど、各工程において地下変電所特有の技術が用いられている。

冷却塔は地下に設置されているが、吸気および排気用の設備は地上部に設置されているため、近接する上部建物の景観を損なわないような配慮が施されており、吸気口は上部建物の軒先を利用し、排気部分のデザインも蔵をイメージしたものとなっている。特に、変電所の運転時に発生する遮断器の操作音や振動が上部建物に伝わらないようにするため、ガス絶縁開閉装置の基礎架台に防振ゴムを採用し、送風機や冷却塔の風洞には消音器が設置されていることは興味深い。

主要変圧器や分路リアクトルの電力ケーブルとの接続部は天井方向に接続する構造を採用しており、電力ケーブルの処理スペースを大幅に削減している。都市部での土地の高度利用が図られている。

高輪変電所と他の変電所を接続するための電力ケーブルは、地中に建設されたケーブル洞道に敷設されており、地質や地震リスクの調査、湿気や浸水への耐性、使用材料の耐久性などを検討した結果を踏まえた工法が採用されている。 高輪変電所の建設は以降の超高圧地下変電所の建設に貴重な技術や知見を提供している。(稲葉正明)

-参考文献-

1) 東京電力パワーグリッド 資料、「-伸び行く電力需要を支える- 高輪変電所」

2) 東電PG、都心の変電所スペース確保へ/ビル内空間の情報募集、電気新聞、2024年12月20日記事、https://www.denkishimbun.com/archives/379654