









電力需要の増大に伴って、変電所の容量も増々大容量化の傾向をたどっていた。一方、変電所用地の取得及び環境面などから、その立地についても困難化の方向にあった。このため、大容量超高圧変電所においても縮小形変電所が求められ、1970年代初頭に開発が始まった信頼性の高いガス絶縁開閉装置(GIS)の適用が急速に進んだ。このような背景のもとに、コンパクト化を目指した「全GIS(高電圧部が全て接地タンク内に収納)」を採用した変電所として犬山変電所の新設に至った。
犬山変電所は中部電力として初の超高圧全GIS変電所であるのみならず、そこで採用された技術は、その後山岳地に建設される大容量変電所のモデルケースとして国内外から注目を集めることになった。
なお、犬山変電所周辺には、明治村入鹿池や尾張信貴山に連なる国定公園がある。また、立地は山腹谷あいの急傾斜の山林にあり、正面には住宅団地が広がるため変電所が直接視野に入る。一方、土木設計上から見た場合、地質は硅岩や粘板岩等の硬い岩からなり、造成にはダイナマイト等の使用が必要となり造成土量も膨大となる。
以上のような環境及び大規模土木工事の周辺に及ぼす影響と工事費の節減、工期の短縮等を勘案し、275kVではGISを採用した2階構造として極力スペースを縮小する設計を採用している。
新設の超高圧変電所は77kV、154kV、275kVの3電圧階級のGISを採用している。その概要を下記に示す。
(1) レイアウトは斜面造成を少なくし、送電線引込及び超高圧装置の外観などを考慮して3段整地とし、上段に154kV、77kVの開閉装置、中段に77kV、33kVの調相設備、下段に変圧器と275kV開閉装置を配置して山腹の急傾斜面の地形に合わせた形状としている。敷地全体は横約200m×縦約100mである。
(2) 275kV-GISは変圧器防音建屋の屋上に設置し、スペース・セービングを測ると共に、変圧器との接続距離を短縮する直結方式としている。変圧器防音建屋の大きさは約60m×約25m×高さ約8mであり、その上に総重量約90tのGISを設置可能な強度設計となっている。
(3) 3電圧階級共にGIS化による敷地面積の縮小化が可能になり、切盛土量は従来型に比べ、数分の一に抑えられ、変電所総工費も大幅な節約となった。
この変電所の特徴としては、先ず各種の信頼性が向上した新型機器の採用によるコンパクト化である。275kV-GISでは当時初の三相一括主母線(主母線以外各相構成)を採用した全GISにより変圧器防音建屋の屋上設置を可能にしている。また、154kV及び77kV-GISでは全三相一括形(構成機器の各相を全て一括して接地タンク内に収納)を採用し、敷地面積の大幅な縮小化を図っており、当時の新規構成の変電所として評価できる(図4~8)。
また、当時の電気設備技術基準では変圧器二次電圧100kV以上の変電所は無人化ができない規程であったが、設備の総合自動化を目指した方針に沿って、犬山変電所では各種の信頼性向上策を適用した特殊設計施設認可申請を行い、275/154kV変電所としては我が国初の無人変電所として認可された。これを契機に全国でも超高圧変電所の無人化が進められるようになり、1982(昭和57)年2月の電気設備技術基準改正(500kV含む全変電所の無人化可能)に繋がっていったことも特徴として挙げられ、歴史・文化的価値がある施設と考える。(山極時生)