電力
送電施設
T002

城端開閉所

  • Johana Switching Station
  • 所在地/富山県南砺市林道500
  • 構造形式/275kV直列コンデンサ 送電線リアクタンス50%補償
  • 事業者/関西電力株式会社(建設当時)
  • 着工/竣工年月/不明/1973(I期)、1982~1984(II期)
  • 設計者/関西電力株式会社(建設当時)
  • 施工者/日新電機株式会社、三菱電機株式会社(建設当時)
  • 所有者/関西電力送配電株式会社
  • 受賞/文化財/ ー

建設経緯

1960(昭和35)年頃、高度経済成長により電力需要が増大し、関西電力においても多くの水力発電設備が開発された。その多くは、黒部川水流を活用したものであった。そこで発電された大電力を関西地方の需要地である大阪湾岸に送電するために3ルートの275kVの送電線が建設された。その中の中心が大黒部幹線である。この送電線は亘長が約244kmであり、3ルートの合計送電電力120万キロワットとなる大電力長距離送電線であった。

超高圧の送電線は送電鉄塔を用いて空中に設置され、3相で電力を送っている。そのために、電圧と電流が電界と磁界を生じて、交流にとっては、送電線がリアクタンスの特性を持つことになる。長距離になるとこのリアクタンスが大きくなることで安定度が保てなくなる。安定度維持のためには送電線の電圧を上げるか、回線数を増やすなどの対策が求められる。

しかし、これらの対策は多くの費用と建設の時間を要する。そこで関西電力は、送電線のリアクタンスを、直列コンデンサによるキャパシタンス(マイナスのリアクタンスになる)で補償し等価的に送電線の距離を短くする対策を採択した。(1)費用対効果、(2)設置スペース、(3)採用実績等の観点からその優位性が評価された。

施設概要

城端開閉所は、いくつかの送電線がつながり、275kV大黒部幹線の送電端であり、大電力送電を行う拠点としての役割を担っていた。ここに直列コンデンサの設置が決められた。

海外の長距離送電線には直列コンデンサが使われてきているが、わが国での直列コンデンサ適用としては、1955(昭和30)年九州電力山家変電所に220kV直列コンデンサ設備が初めて設置された(現在は廃止されている)。

1973(昭和48)年、関西電力大黒部幹線城端開閉所に送電線リアクトルの16.7%補償(66.1MVA/回線、第2群といわれる)のものが設置された(第Ⅰ期)。その後、送電容量増大のニーズを受けて増設(第Ⅱ期)を行い、現在は50%補償(198MVA/回線、第1群と呼ばれる)の設備を設置している。

直列コンデンサは、両端を絶縁する必要がある。そのため、全体が架台の上に設置され、これを碍管(がいかん)により支え絶縁しているのが特徴である。碍管は、直列コンデンサの高電圧部分と地面や他の金属部分を絶縁するために使用される。

直列コンデンサの架台を支える碍管の内側の材料は、主にセラミックが使用されている。セラミックは、非常に高い絶縁耐力と機械的強度を持つため、超高圧環境下でも非常に安定して使用でき、耐候性にも優れており、屋外に設置されることが多い直列コンデンサに適している。

架台の上には、コンデンサと、コンデンサ保護のためのギャップ、系統事故時の過電圧を回避するための保護装置などが置かれている。その総重量はおおむね片回線当たり140,000kgと重量がある。

戦後土木施設としての特徴・評価

城端開閉所は山間部に位置しており、冬季の凍結・積雪等による影響を受け易い立地条件となっており、融雪設備も設置されている。1m以上の積雪となる年もあり、碍管へのストレスがかかり易い環境となっている(近年は3年に1度程度)。構内には融雪設備が備わっている。

直列コンデンサは、遠隔地にある再エネルギー電源を大容量かつ安定的に輸送できる設備であり、関西地内の電力の安定供給に加え、ゼロカーボン社会の実現にも寄与している。送電系統にとって必要不可欠の設備となっており、電力の安定供給に寄与している。(鈴木浩)

-参考文献-

1) 山口卓余、室谷金義:IV直列コンデンサ補償、小特集:電力系統の安定化制御技術の現状、電気学会雑誌、106巻7号、pp.640-642、1986