





中部電力では、電力需要の増加対策の一環として、新名古屋火力発電所において発電設備の増設が進められ、同発電所から引き出される送電線として300万kW程度の電力を送ることが可能な大容量地中送電線路が必要となった。ここにガス絶縁管路気中送電線(Gas Insulated Transmission Line、以下GIL)が採用された。
この地中送電線路(新名火東海線)GIL(275kV、亘長3.25km)と洞道は、1992年から建設が進められ1998年2月に完成した。この大容量GILは世界最長(当時)のものである。
新名古屋火力発電所から東海変電所までの全線を洞道で連結している。洞道は公共道路の約30m下に設置され、4ヵ所の曲がり部(最小曲がり半径150m)がある。また、洞道両端には搬入口となる立坑が、中間部には換気口が1ヵ所ある。
この洞道(直径5.6m)を上下に分割し、上部に3相2回線のGIL、下部に発電所に燃料を送るLNGパイプラインが配置されている。
275kVレベルの超高電圧地中送電線路では、従来CVケーブルが適用されている。CVケーブルの場合、新名火東海線では大サイズ(通電導体断面積2,500mm2)でも5回線が必要となる。さらに送電線両端の引き出し部の接続設備やその他に必要となる機器を含むと建設コストは非常に高くなる。
一方、GILを用いた場合、CVケーブルに比べて大容量化が可能となるため2回線となり、機器としてのコストは低くなる。しかし、洞道内は作業空間が狭く、また道路下にあるため、曲がりと傾斜が組み合わさった3次元の緩やかに変化する形状となっており、大口径(内径460mm、厚さ10mm)のアルミニウムバイプで構成されるGILを長距離地下洞道に合わせて曲線敷設するという難しい設置工事となる。また、輸送、搬入条件などから、GILを構成するユニット長は最大14mとせざるをえず、2回線で約1,500本のユニットを順次接続することとなる。
このため、長距離地下洞道敷設に適した経済的で信頼性の高い構造を開発し、トンネル内での曲線布設工事の簡潔化と、電気機器としての品質向上のため洞道内作業環境下での異物混入を防ぐ施工方法を実現した。更に、地震変動に対する追随性を設けた耐震設計を確立した。
洞道の建設には、新規開発(当時)のCID工法(Concentric Interlace Docking Shield Method:同心円状に組み合わせる地中接合シールド工法)を採用した。これは、機械式シールド地中接合方法で2台のシールドマシンを機械的にメタルタッチし接合する工法である。接合試験時の接合状況は写真2の通りである。これにより、到達立坑と接合部の地盤改良のための補助工法(薬液注入、凍結工法など)の省略が可能となった。
この接合工法の特徴は下記のとおりである。
・2台のシールドマシンのスキンプレートをラップさせ、機械的に接合するため、周辺地盤への影響が少なく安全性が高い。
・接合部周辺の地盤改良をする必要がなく工期が短い。
・接合部の止水はスキンプレートラップ部への固化材充填により行うため、工期も短く、経済的である。
上述から、世界最長の大容量GIL、新工法の洞道ともに、高い品質と安全性、短い工期と妥当なコストの施設が実現したものである。(山本正純)
1) 中部電力中央送変電建設所:シールドトンネルの機械的接合工法の開発、中部電力技術開発ニュース、No.5435、1992.11
2) 中部電力工務部:世界最大の175kV長距離管路気中送電線路(GIL)の開発、中部電力技術開発ニュース、No.6323、1995.1
3) 片山英明他:新しい機械式シールド接合工法、トンネルと地下、第27巻1号、土木工学社、1996.1
4) 五味善昭:世界最長の管路気中ガス絶縁電線(GIL)を適用した新名火東海線建設工事、電気現場技術(現 電気現場)、電気情報社、1996.11
5) 五味善昭:世界最長のGIL大容量地中送電技術、オーム社、1998.4