岡山県026

児島聖約キリスト教会

  • 1994年竣工
  • 設計/一粒社ヴォーリズ建築研究所
  • 施工/藤木工務店倉敷支店
  • 構造形式/木造、鉄筋コンクリート造およびコンクリートブロック造 地上1階 鉄板葺
  • 用途/宗教建築
  • 所在地/岡山県倉敷市児島味野

この建物は倉敷市南部、児島半島の突端に近い児島味野にあり、「児島郡大庄屋」であった下津井の荻野家の分家筋の「新屋」の900坪の土地と明治初頭に建てられた屋敷を1951年にスウェーデンに本部を置く聖約キリスト教会が購入し1952年児島聖約キリスト教会を設立して使用していたが、老朽化に伴って雨漏りするなど傷みが激しくなったため奥座敷、土蔵を残し主屋を取り壊し、跡地に1994年に牧師室・会議室等を備えた礼拝堂を建てたものである。
礼拝堂は収容人数150名ほどであり、ほぼ14mの正方形の平面である。鉄筋コンクリートの桁と円柱で支えた構造にセラミックブロックを積んだ高さ約3mの壁の上に、湾曲集成材を用いて、スパン約14m、高さ約12mの屋根架構を施し、外から見ると鳩が羽を広げたような曲面の空間を作り出している。
設計は、一粒社ヴォーリズ建築事務所によって平成6年(1994年)におこなわれ、藤木工務店倉敷支店の施工により同年12月に竣工した。一粒社ヴォーリズ建築事務所は、日本キリスト教団長崎平和記念教会、カトリック焼津教会等、日本各地で教会建築を手掛けており、建築材料がもつ表情をシンプルにいかした、トップライトにより明るく親しみやすい空間の設計が特徴で、この児島聖約キリスト教会もその一連の作風に沿ったものである。
土蔵は収蔵庫として使用し、奥座敷は改修され礼拝に訪れる信者たちの憩いの場、また地域とともに様々なイベントをおこなう場として開放されている。
地域に根差そうとする新旧の建物からなる教会には毎週のように信者たちが礼拝におとずれ継続的に維持管理に努められている。