神奈川県006

東京都水道局長沢浄水場

  • 1957年竣工
  • 設計/山田守建築事務所・東京都水道局
  • 施工/間組
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造地上3階地下2階建、陸屋根
  • 用途/水道・電気施設
  • 所在地/神奈川県川崎市多摩区

川崎市の長沢浄水場は、1957(昭和32)年に竣工した東京都水道局の浄水場である。構造体にマッシュルームコラムやフラットスラブといった特徴的な形態を用いており、特に本館の南面や低層棟の濾過場棟では、外周部をガラスのカーテンウォールとすることで、スラブの薄さがより強調されている。濾過場棟は、110mの直線上に2本一組で21組のマッシュルーム柱が立ち並び、その先端にカーテンウォールのサッシュが整然と並ぶモダニズムのデザインで評価も高い。
設計者の山田守は、1920(大正9)年に「分離派」のメンバーとして設計活動をはじめて以降、生涯にわたりパラボラ曲線やストリームラインといった曲線を多用した表現派的な造形にこだわり続けた。
この独特な雰囲気の空間は、特撮作品の撮影のロケ地としても多く利用されている。一時期の改修工事でカーテンウォールの変更や外壁塗装などが行われたが、近年の耐震改修工事では、山田守建築事務所の設計により、棟内の水槽の撤去やデザインを重視した増設などと共に、当初のイメージにより近い復原的な改修工事が行われた。

受賞歴等/DOCOMOMO Japan選定