香川県002

香川国際交流会館

  • 1963年竣工
  • 設計/建築:芦原義信建築設計研究所、構造:織本匠構造設計研究所、設備:建築設備設計研究所、外構:流政之
  • 施工/建築:清水建設四国支店
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造 地上3階、地下1階
  • 用途/文化施設
  • 所在地/香川県高松市番町

高松市中央公園の北西隅、道路を挟んで高松市役所の南に位置する。北側道路の喧騒を避けるために、南へ少し入り込んだ位置に建てられている。竣工時は高松市立中央球場の敷地の一角に建つ香川県立図書館であったが、平成6(1994)年度に新香川県立図書館が高松市林町に新築された年に香川国際交流会館として改修工事が行われ、現在もアイパル香川という愛称で使われている。建物の竣工は昭和38(1963)年3月で、設計は芦原義信建築設計研究所、施工は清水建設が担当した。構造形式は鉄筋コンクリート造、地下1階、地上3階建で、延床面積は2,632.02㎡である。外観は4面ともほとんど同じファサードであり、バルコニーの深い庇と立上り壁と水平スチール窓が特徴的であるが、各階南北面中央スパンの2本の大梁がこの建物の骨格を構成している。また1階から2階にかけてのスキップフロアの空間構成も当時斬新な形式であった。内部の図書館当時の部屋の構成は各階中央部に書庫を配置し、地階が倉庫、機械室、1階は事務室、閲覧室、2階は語学演習室、モニター室、3階は閲覧室、会議室であった。書庫部分は構造図で床の仕様の表記が無く、意匠図で鉄骨C型鋼の上にフローリング張とあり、当時の積層書庫システムが興味深い。屋根は陸屋根で竣工時はアスファルト防水シンダーコンクリート押えだったが、平成6(1994)年度の改修工事でFRP防水に、平成14(2002)年度の改修工事でシート防水となっている。外壁は竣工時はコンクリート打ち放し、南面1階は磁器質タイル張だったが、平成2(1990)年度までの改修で吹付となっている。内部は平成6年度に図書館から会館へ用途変更された際に大幅な改修が行われ、各部屋の間仕切り変更の他、アプローチのバリアフリー化、書庫の床コンクリート築造、エレベーターの設置、トップライトの設置、外構改修等が行われた。現在の各階部屋の主な用途は地下1階・中1階は図書閲覧室、機械室、1階・中2階は展示室、交流談話室、2階は事務室、3階は会議室となっている。外構の石組造形は流政之によるもので、この仕事を機に香川で庵治石の職人との協同作業を行うようになった。平成24(2012)年度の耐震改修工事で、各階の中央スパンに耐震壁が設けられたため、外観が大きく変化しており、竣工当時の水平連続窓のファサードは失われた。香川県立図書館は建築に造詣の深かった金子知事の時代に、丹下健三設計の香川県庁舎に続いて東京大学建築学科卒業後設計事務所を開設していた芦原義信に設計が依頼された。芦原義信は当時法政大学教授で建築の外部空間に関する研究を行っており、本建築は外部空間の設計の実際の作品となった。外部に開かれたこの建築は竣工から58年目を迎えた今でも県民に親しく使われ続けている。