香川県006

丸亀市立綾歌中学校

  • 1965年竣工
  • 設計/中村建設設計事務所、三高建設事務所(特別教室棟のみ)
  • 施工/寒川工務店、高岸工務店
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造 地上2階 鉄板葺
  • 用途/学校建築
  • 所在地/香川県丸亀市綾歌町栗熊東431番地

丸亀市の南部コトデン栗熊駅近く、栗熊小学校の南隣に位置するRC2階建ての丸亀市立の中学校である。建設当時は綾歌町立であったが、町村合併により、丸亀市立となった。学校敷地内の古い木造校舎を立替える為、新築工事は1期工事から3期工事まで1年3か月を要した。その15年後、特別教室等が増築工事されている。
床面積は増築部分を含む校舎棟が1階約2250㎡、2階2102㎡の鉄筋コンクリート造である。中央に中庭があり建物は口の字に配置されている。道路に面して西に玄関があり、すべての教室は中庭に面した廊下と広いバルコニーがあり、空調機が設置されている。増築された特別教室棟には、建設当時西日本で初めての音響に配慮した音楽室がある。段差のある床、天井の意匠、壁の木製ルーバーは、現在もコンサートに使える音響効果をもたらすと思われる。校舎内部には子供たちが製作したいろいろな作品が掲示され、地域の方にも愛される空間になっている。敷地内には、体育館、運動場、テニスコート、武道場、プールが設置されており、特に体育館はシャープなデザインが目を引く。北に小学校、東に保育所があり、子供たちが長期に渡り滞在する地域である。
屋根は建設当時は防水シートモルタル押さえだったが、改修工事により上部に金属板による切妻屋根を設置している。外壁はコンクリート一部タイル貼りの仕上となっている。学校敷地は平野部にあるが、建設当時の構造図面によると地盤に杭が施工されている。建設当初からの多くの設計図(意匠・構造・設備・建具・家具)が保管され、詳細な構造図は特筆すべきである。
設計者は中村建築設計事務所、特別教室は三高建築事務所。施工は寒川工務店と高岸工務店による。昭和38(1963)年起工式、1期工事は昭和39(1964)年5月竣工、2期工事昭和40(1965)年竣工、3期工事は同年8月竣工である。特別教室棟増築は昭和55 (1980)年完成。その後、改修や7期に及ぶ改装工事が実施され、平成24(2012)年、平成26(2014)年、平成27(2015)年に校舎、別棟などの耐震改修工事が行われている。
学校建築の典型である鉄筋コンクリート造であり、当時の技術の粋を集めて建設され、長く使われる為の改修工事も繰り返されている。この学校は丸亀市の避難所の指定を受けており、綾歌町にとって必要不可欠な施設となっている。