香川県008

百十四銀行白鳥支店

  • 1967年竣工
  • 設計/日建設計工務KK
  • 施工/小竹興業
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造 地上3階
  • 用途/商業・事務所建築
  • 所在地/香川県東かがわ市湊

東かがわ市を東⻄に貫く国道11号沿いの、東かがわ市役所本庁舎の⻄隣りに⽴地する。⾹川県主要銀⾏である百⼗四銀⾏の⽀店で、昭和41年に竣⼯し、現在も営業店舗として使⽤されている。店名の⽩⿃は、平成15(2003)年に東かがわ市に合併統合した旧⽩⿃町に由来する。
昭和中期のモダニズム建築であり、当時の銀⾏建築としては斬新かつ瀟洒な建物である。外観は、垂直⽅向には前⾯道路に対してしなるような曲線を描いている外壁とピロティを⽀える3層⾼さの⼤壁柱、⽔平⽅向には伸びやかな緑⻘⾊の屋根、そして⽩いスチールカーテンウォールのボックスで構成されている。DOCOMOMO100選に選ばれた⾼松市の百⼗四銀⾏本店と同時期に設計・建築されており、ピロティの扱いや、4種類のピッチを組み合わせた縦スリットが⼊ったコンクリート打放し壁や軒先の銅板(改修後は緑⻘仕上げのスチールプレート)使⽤などに類似性が感じられる。⼀⽅、外壁の曲線構成や、壁と屋根との間を深⽬地とすることで全体に軽やかさを感じさせる。また、⼤壁の⼩⼝には先端が窄んでいくような繊細な意匠デザインが施され、本店に⽐べると全体的に幾分柔らかな印象を受ける。⽩⿃という可憐な地名への想像があったのかもしれない。内部は、1階営業室フロアレベルがグランドレベルから約40cm下がっており、窓際に設えられたベンチシートに座ると窓外の築⼭等のランドスケープを低い視点から望めることができる設計となっている。現在、建物南側にあったランドスケープは駐⾞場として使⽤されており、前⾯道路の拡幅(令和元年)のため、建築当初にあった建物から伸びる⻄壁は切り取られている。竣⼯後50年以上経った今なお、普遍的な美しさと存在感を持つ意匠性に優れた銀⾏建築として地域に愛され続けている建物であり、評価に値する。