香川県009

白峰園地展望台

  • 1967年竣工
  • 施工/三和建設
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造 平屋
  • 用途/展望施設
  • 所在地/香川県坂出市高屋町東山

坂出市の東部、四国八十八ヶ所霊場第⼋⼗⼀番⽩峯寺近くの展望施設である。敷地は瀬⼾内海国⽴公園内で、五⾊台と呼ばれる標⾼約200mから400mの卓上台地(メサ)の先端に位置する。北⻄⽅向に眺望が開け、坂出市街を眼下に、そして瀬⼾内海の島々や、本州まで眺めることができる。
平⾯は、⾼さの異なる3つの正⽅形のステージにより構成され、駐⾞場のある広場側から北に向かって順に、4.5m⾓のC棟、6.5m⾓のA棟、5.5m⾓のB棟が、雁⾏するように配置される。各棟の床は⼗⽂字の⼤梁を介し、その交点に1本の柱を設けることで、地上より持ち上げられ、さらに、相互の床が重なり合う部分を階段とし、互いに接続される。床レベルはC棟を基準とすると、A棟は+1.8m、B棟は+0.4m⾼くなっている。なお、C棟の南東端には、広場と接続する幅1.5mほどのスロープ状のブリッジが設けられ、利⽤者はブリッジを渡りC棟へ、さらに階段を上りA棟、再び、階段を下りB棟へと、景観と共に⾼低差の変化を楽しむことができる。
⼀⽅、階下は、階上の各棟平⾯に対応するよう、⽯積擁壁で囲まれた3つの⾼さの異なる⽔平地盤が作られ、各柱の⾜元にはベンチが設えられる。
昭和62(1987)年度の改修⼯事により、当初レンガタイル貼りとなっていた床は全⾯撤去した上で、塗膜防⽔が施され、縦リブ⼊りのハツリ仕上げとなっていたコンクリートの腰壁はアクリルゴム系吹付仕上げとなったが、それ以外の部分については、竣⼯時より⼤きく変わっていない。
瀬⼾内海国⽴公園に⾯する本県においては、戦後、余暇、レクレーション、観光のため、海を眺める景勝地に多くの展望台や、休憩所が作られた。その中には、単に眺望を楽しむだけでなく、建物⾃体も楽しめるよう、⽴地場所の景観を考慮し、新たな形を追い求めたものがいくつか⾒られるが、本展望台はその中でも、斬新な構造⼿法を⽤いた意欲作として、評価することができる。
なお、当地、五⾊台は「五⾊台開発」の名のもと、昭和39(1964)年に⼭塊の南北を貫くスカイラインが開通し、国⺠休暇村の誘致が⾏われるなど、マイカー時代の到来を⾒据えた観光開発が⾏われた地である。現段階で断定はできないが、本展望台の整備も、⼀連の観光開発として⾏われた可能性が⾼い。