香川県010

小豆島町立星城小学校屋内体育館

  • 1967年竣工
  • 設計/連合設計社市谷建築事務所
  • 施工/清水建設 四国支店
  • 構造形式/鉄骨鉄筋コンクリート造 地上2階
  • 用途/学校建築
  • 所在地/香川県小豆郡小豆島町草壁本町

星城⼩学校は⼩⾖島を⼆分する町のひとつ⼩⾖島町にある町⽴⼩学校。町の中⼼街区である草壁地区には3つの⼩学校があり、星城⼩学校は草壁港近くの⼭麓に位置する。
当⼩学校の建物は傾斜地を利⽤していて、⾼低差のある教室棟が南北に配置され、渡り廊下をはさんで東側に配置された当体育館もその⾼低差をうまく利⽤している。体育館の主要部分(アリーナと舞台)は運動場から⼀層分上がった教室等のレベルにあり、倉庫やトイレは舞台の下、運動場のレベルに設けられている。平地が少なく急峻な⼭を背負う地域での⼯夫といえる。
図⾯が学校にも役場にも残っておらず、アリーナにバスケットコート2⾯が取れることから延べ⾯積の概略は1階アリーナ部分の床⾯積約1200㎡、地下⼀階倉庫部分約180㎡程度である。主要構造は鉄⾻造であるが柱はコンクリートで巻かれており外壁は鉄筋コンクリート造、屋根はデッキプレートの上コンクリート打設。全体としては鉄⾻鉄筋コンクリート造である。
屋根形状に特徴があり切妻型の勾配屋根で、お寺の本堂のような反りがつけられている。当時モダニズム建築の先端技術であった吊り屋根構造(代々⽊屋内競技場や⾹川県⽴体育館)を模倣したデザインではないかと思われる。構造的には吊り屋根ではなく棟部分に梁せいの⼤きいトラスを渡しそこから梁せいの⼩さいトラスを反りを付けておろして桁側の柱につなげている。
平成24年(2012年)に耐震補強が⾏われていて、桁⽅向の⽔平⼒の補強のため桁壁にブレース、妻壁に⽔平梁が付加されている。外壁は複層模様吹き付け仕上、屋根はシート防⽔。現在の仕上はいずれも耐震改修⼯事と同時期に施⼯されたと思われる。竣⼯時に外壁がコンクリート打ち放し仕上であったかどうかは確認できていない(落成時の写真でも判別できない)。1960年代の公共建築に打ち放しが多かったことから壁に塗装はされていなかったのではないかと推測される。
特に芸術的にレベルの⾼い建物ではないが当時の時代の影響を受けたユニークな構造と形態であること、⼩学校の活動の施設として、⼜地域住⺠の利⽤施設として親しまれていることが特徴としてあげられる。島の⼈⼝は年々減少しており、3つの⼩学校も今後統合されていくことが予想されるので、これからどのように活⽤していくのかが課題と思われる。