香川県011

四国物産本社

  • 1968年竣工
  • 設計/水谷頴介・高月昭子/チームUR
  • 施工/合田工務店
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造 地上2階
  • 用途/商業・事務所建築
  • 所在地/香川県観音寺市昭和町二丁目4-5

四国物産株式会社の創⽴50周年記念事業として、昭和43(1968)年に建築された。⼟地の持つ個性に対する配置計画やモータリゼーションの進化に伴ったドライブインシステムの採⽤など、アーバンデザイナーでもある⽔⾕頴介の建築に対する思考や⼿法がみてとれる。丸窓の空いた壁、壁トラススラブ構造の執務空間、階段や設備のためのサービスコアによる空間構成は明快でダイナミックである。外部は杉板乱尺型枠打放し、内部はベニヤ型枠打放しという仕上げであるが、連続した丸窓、等間隔で配置されたコア、⼤きくハンチのついた梁によって、街や⼈に対して違和感のないスケ―ルでまとめられている。また、階段の⼿摺、建具のデザインや⾊調にも設計者の個性が表現されている。平成25(2013)年には創⽴95周年記念事業として、外装、内装、バリアフリー化、設備の改修⼯事が⾏われた。設計は新築時のパートナーである⾼⽉昭⼦が担当し、当時のデザインコンセプトを引き継いでいる。耐震に関しては合理的で数値的にも問題がないが、丸窓の空いた壁の地震時の波打ち対策及びクラック防⽌として杉板型枠の壁を増し打ちしている。
平成21年、ポンピドゥーセンターから⽇本の建築家の作品収蔵にあたり⽔⾕頴介が選ばれたとの連絡があり、平成23(2011)年5⽉20⽇付で四国物産本社のドローイング等20点余りが登録、収蔵された。平成25(2013)年暮れから平成26(2014)年5⽉まで⽇本の建築とアートの展⽰が⾏われ四国物産本社の図⾯が展⽰された。竣⼯当時のデザインや技術などが随所にみてとれる建築であり、また所有者が⼤切に使い続けていることで現在でも全く⾊褪せず、地域の建築⽂化を代表する重要な建築である。