香川県012

高松信用金庫本店

  • 1968年竣工
  • 設計/西館:石本建築事務所、東館:田中二郎建築設計事務所
  • 施工/竹中工務店
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造および鉄骨鉄筋コンクリート造 地上8階、地下2階、塔屋3階
  • 用途/商業・事務所建築
  • 所在地/香川県高松市瓦町

⾼松市の中⼼街に位置し、国道11号線沿いに北⾯して建つ。建物は⾼松信⽤⾦庫本店として旧本店跡地に建てられ、現在も使⽤されている。
⻄館は鉄⾻鉄筋コンクリート造、地下2階、地上8階、塔屋3階建、東館は鉄筋コンクリート造、地上5階建である。東館には屋上緑化が施されている。⼤通りに⾯した北⾯の3階から7階はカーテンウォール⼯法によりプレキャストコンクリートの杵型柱が連続して並ぶ。⻄館の1階は天井が⾼く開放的な空間の営業フロアとなっている。営業フロアの奥に⾦庫室があり、特注の⼤型扉を備えている。昭和41(1966)年9⽉19⽇の理事会議事録によると、⾦庫扉は建物のシンボルとして位置づけられており、拘りをもって設置されたことがわかる。⾦庫室の⽤途は書類保管庫へ変わっているが現在でも使⽤されている。
昭和43(1968)年に旧本店の建物の狭隘、⽼朽化、機械化計画を理由として、⻄館が建設された。設計は株式会社⽯本建築事務所、施⼯は株式会社⽵中⼯務店である。⻄⽇を避けるため⻄側にコアをまとめ外壁⻄⾯は⼀枚壁として扱われている。また、竣⼯時は杵型柱が北⾯だけでなく、東⾯にも連⽴していた。杵型柱とすることで重厚でありながら単調ではない外観とし、建物を特徴付けるデザインとなっている。昭和59(1984)年には東館が増築された。設計は⽥中⼆郎建築設計事務所、施⼯は株式会社⽵中⼯務店である。東館北⾯の3階から5階には⻄館の杵型柱のデザインが踏襲されている。⻄館から連続して設置されているため増築の不⾃然さがない。平成26(2014)年に実施した耐震診断の結果を受け、平成29(2017)年に耐震補強⼯事が⾏われた。また、⽼朽化により外壁の滑落の恐れがあったため、北⾯及び⻄館6階から8階の東⾯の改修⼯事が同時に⾏なわれた。この際の設計、施⼯は共に株式会社⽵中⼯務店である。耐震補強⼯事に伴い、杵型柱が⼀部撤去されたが、アルミパネル杵型柱に置き換えられ本来の外観が保たれている。また、既存の杵型柱を残すため倒壊防⽌の鉄⾻補強も⾏われている。
内外共に竣⼯時からのものを⼤切に扱っており、建設の過程における資料もきれいに保管されている。特に外観の杵型柱は⻑年慣れ親しんできた建物を特徴付けるデザインとして増築、改修を経て維持されてきた。当時の最新技術と現在の最新技術が同時に存在し、技術の発展を⽰す建築物として評価できる。