香川県013

高松三越 本館

  • 1968年竣工
  • 設計/日建設計工務東京事務所三越設計室(インテリア)
  • 施工/大成建設
  • 構造形式/鉄骨鉄筋コンクリート造 地上7階、地下2階
  • 用途/商業・事務所建築
  • 所在地/香川県高松市内町7-1

⾼松城跡中堀の南、⾼松中央郵便局の道路を隔てた東隣に位置する。竣⼯以来、⼤規模⼩売店舗として使⽤され現在も⾼松市を代表する商業施設である。
鉄⾻鉄筋コンクリート造。地上7階、地下2階で屋上広場を持つ。屋上広場の床は磁器タイル張りで、外壁にはカーテンウォール⼯法によるプレキャストコンクリートのルーバーに、擬⽯ヌリ突ツキ仕上が施されている。北東部にコアを持ち、地下2階のサービスヤードを除き、ほぼ全館を売り場としている。地下1階を⾷品専⾨フロアーとし、地上1階から6階まで各種売り場が並ぶ。7階ペントハウスにはサービスサロンがあり、5階には美術画廊、6階には⾼松城を望めるレストランが設けられている。
昭和6(1931)年、三越は中国・四国地⽅の初出店として三越⾼松⽀店をオープンした。昭和20(1945)年の⾼松空襲により建物が⼤きく損傷したため、昭和42(1967)年に仮店舗で営業を続けながら、新しい三越⾼松⽀店新築⼯事に着⼿した。設計を⽇建設計⼯務株式会社東京事務所、インテリアを三越設計室が担当した。施⼯を⼤成建設が請け負い昭和43(1968)年に新店舗がオープンした。竣⼯当時、中央東寄りにコアがあり、客⽤エレベーター3台とサービス⽤エレベーター2台、客⽤トイレがあった。屋上広場には観覧⾞などの遊戯施設が設置され、5階には劇場もあった。70年代後半には屋上の遊戯施設や劇場は閉鎖・撤去された。平成10(1998)年には東館の増築に合わせ耐震改修⼯事が⾏われ、その際客⽤エレベーター1台を残しコアを北東部に移動した。改修前のコアの東側はサービスヤードだったが、コアを移動してできたスペースと共に売り場に改装され東新館に渡る通路につなげられた。本館の改修は設計を横河建築設計事務所が担当し、施⼯を⼤成建設株式会社四国⽀店が請け負った。平成18(2006)年には丸⻲町壱番街に三越アネックスがオープン。それに合わせて本館も全館リニューアルオープンとなった。その際に⻄側正⾯⼊⼝の⾵除室が増築されている。平成21(2009)年10⽉に親会社である三越伊勢丹ホールディングスによる地⽅店舗の分社化に伴い、株式会社⾼松三越となった。
ショックベトン⼯法で作られたプレキャストコンクリートのカーテンウォールのピースは、細く繊細でありながら⾦属とは違った柔らかい印象を与える。国内において建築にプレキャストコンクリートによるカーテンウォール⼯法が採⽤され始めた最初期の建物であり、当時の先端的な技術とデザインは現在も古さを感じさせない。この建物は⾼松市内唯⼀の百貨店として当時も今も市⺠に愛されている。