香川県016

香川県立丸亀高等学校武道館

  • 1973年竣工
  • 設計/大江宏建築事務所、香川県建築課
  • 施工/光建設
  • 構造形式/木造、鉄筋コンクリート造および鉄構造 地上2階、地下1階 浅瓦葺
  • 用途/学校建築(元 文化施設)
  • 所在地/香川県丸亀市城南町63-5

丸亀城の南に位置する丸亀高校の西隣の敷地に建つ、県立では2番目の総合的な武道館として昭和48(1973)年に竣工した。当初は管理棟ー鉄筋コンクリート造、地上2階・地下1階建、316.78㎡、道場一鉄筋コンクリート造一部鉄骨造、地上2階建、612.36㎡の他、木造の門、渡り廊下が配置されていた。昭和49(1974)年に弓道場を増築、平成23(2011)年に耐震改修工事、平成31(2019)年に特定天井改修工事を行い現在に至る。施設管理の担当課の変更により、名称は香川県立丸亀武道館から丸亀高校武道館に変更されている。設計は香川県文化会館や丸亀高校の他、県下に数多くの作品がある大江宏である。この作品により大江宏は毎日芸術賞と日本芸術院賞を受賞している。
門をくぐると前庭→管理棟→中庭→道場→回廊→弓道場と空間がつながり、それぞれの武道にとって必要とされる空間のスケールの転換に呼応するように中庭などの余白の空間がある。庇に覆われた内外を緩やかにつなぐあいまいな空間の効果もあり、武道における‘間あい’が感じられる空間となっている。
屋根は日本瓦葺の切妻造で、コンクリートの柱・梁を用いて日本の伝統的な木造建築の意匠を表現している。内部においてコンクリートは力学的なストラクチャー、木は身体的スケールを表現する材料として巧みに使い分けられている。管理棟の玄関で靴を脱ぐと素足で移動するので、特に床の素材は素足の感覚を尊重して選択されている。管理棟のマツ突板フローリング、渡り廊下の木レンガ(現在は敷瓦に改修されている)を通り、武道場の畳敷・スギ板張に至る。県下の大江建築を代表する重要な作品として、評価に値する。