香川県020

日本バプテスト連盟 高松常磐町キリスト教会

  • 1981年竣工
  • 設計/森一清、四電エンジニアリング
  • 施工/藤木工務店
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造 地上4階
  • 用途/宗教建築
  • 所在地/香川県高松市常磐町二丁目12-2

⾼松市中⼼部の繁華街、常磐町に位置するRC造4階建て(4階は階段室と倉庫のみ)の教会である。延床⾯積は835.48㎡。前⾯道路に⾯した北を正⾯とする奥⾏きの⻑い建物である。かつては⽊造建物であったが、「地域に開かれた教会」というコンセプトのもとに、堅牢性及び安全性にも配慮し、キリスト教信徒の設計により昭和56(1981)年に今の建物が建設されている。信徒や近隣住⺠から⼤切に育まれてきた建物である。ファサードは⽞関・⼗字架・尖塔型サッシを中⼼にしたシンメトリーで、中央棟を両側2つの塔が挟むような形状となっている。また、コンクリート打ち放しの北・東外壁⾯には縦に貫いたサッシ列が規則正しく配され、秩序と荘厳さを感じさせる。1階は事務・管理スペース、2階は礼拝堂として構成されており、礼拝堂奥の講壇裏にはバプテストリーと⾔われる洗礼槽が配置されている。東⻄両側壁に連続する縦⻑サッシから優しい光が差し込む、清楚で⼼地良い雰囲気の礼拝堂である。3階は厨房、トイレを付帯する多⽬的スペースであり、通常は信徒の集会室として利⽤されているが、有事の際は地域の避難施設として機能することも考慮され、露出させた格⼦状の梁型を利⽤して10個室に分割することが可能である。外観は竣⼯当時の教会建築としては珍しく装飾を削ぎ落としたコンクリート素地の建物であるが、⼤地から空を⽬指すサッシ列が印象的な堂々とした建物で、雑居ビルの⽴ち並ぶ地域の中で埋もれることなく、教会の存在を浮かび上がらせている。建築以降⼤きな改修は⾏われていないが、外観・内観ともに整然とした美しさがあり、時代を⾒越した先⾒性と公共性を持ち合わせた建築として評価できる。