香川県021

善通寺市美術館

  • 1985年竣工
  • 設計/吉岡直樹建築事務所
  • 施工/枝園建設
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造 地上2階
  • 用途/文化施設
  • 所在地/香川県善通寺市文京町二丁目

善通寺市の中⼼部、市役所・旧善通寺偕⾏社などがあるエリアの⼀画に位置する、鉄筋コンクリート造2階建、床⾯積約527㎡の美術館である。善通寺市東公⺠館として昭和60(1985)年に竣⼯したが、平成11(1999)年に地元出⾝の漆芸作家、⼤⻄忠夫⽒より作品の寄贈を受け、同年美術館に改修された。収蔵庫は別棟の総合会館内に設けられている。
⻑⽅形から三⾓形を切り抜いたプランで、切り抜いた三⾓形が道路からのアプローチのスペース、残った三⾓形がホール・階段室、両側の矩形部分が主に展⽰室にあてられている。1階には展⽰室、常設展⽰室、事務室、2階には展⽰室、陶芸教室、和室などが配置されている。
外壁はコンクリート打放しとメタリックタイル張り、屋根はアスファルト防⽔+川砂利押えとしている。屋根は旧本庁舎と同じ仕上げである。
ディテールを⾒ていくと、三⾓形のプランをしている階段は、⼿摺壁の天端の⾯をとり、その三⾓形の断⾯を補うように、L型鋼を⼿掛かりの隙間をあけて設置して⼿摺としている。展⽰室の建具のハンドルは溝形鋼を流⽤したもので、隙間を設けて換気ガラリを兼ねている。照明は光源を隠す⼯夫がされていて、標準的な照明器具が⽤いられているが、天井や壁にニッチを⽤けて、建築化照明としている。
プランにみられる三⾓形のモチーフを効果的に⽤いた特徴ある空間、⼿摺、建具など細部にまでわたり設計者の意図が反映されている、⼩規模な美術館であるが評価に値する建築である。