香川県023

香川県営住宅一宮団地

  • 1986年竣工
  • 設計/基本設計:丹下健三・都市・建築設計研究所、実施設計:香川県土木部住宅課
  • 施工/穴吹工務店、木村建設、高岸工務店、寿建設、久保田工務店、河西建設、橘一吉工務店、観光建設、井坪建設、三協建設、平尾興業、香西工務店、永禄建設
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造 地上3階 鉄板葺
  • 用途/住居建設
  • 所在地/香川県高松市寺井町

⾼松市の中⼼部から⾞で南へ約20分の郊外の県営住宅で、敷地⾯積は約5ha、住⼾数は395⼾である。最初の建物は昭和33年〜39(1958〜1964)年度に整備され、基本設計は東京⼤学丹下健三計画研究室が⾏い、RC造5階建のスターハウス11棟と、平屋建または2階建の低層住居を組み合わせた、447⼾が整備された。地元産のゴロ太⽯の⽯積塀が要所に設けられ、団地内の統⼀感を保っていた。ただ、多くは⾵呂がなく、各⼾は30〜40㎡と狭く⽼朽化も進んでいたことから、昭和54年度から建替えが進められ、スターハウス11棟を除いてすべて建替えられた。昭和56年〜60(1981〜1985)年度に整備された棟は、丹下健三・都市・建築設計研究所の住棟配置計画に基づき建築された。住棟は敷地のほぼ南北に⾛る街路の両側に向かい合うように配置され、各⼾のエントランスは街路に向かって設けられている。各住⼾の街路と反対側には各⼾の庭があり、緑の広場と名付けられた緑地空間に続く。その緑地には、園路や遊び場が設けられ明確に歩⾞分離もなされている。各住⼾は街路に対し45度の⾓度で雁⾏し、従来の南⾯平⾏型の住棟配置に⽐べ、前⾯の住⼾までの距離を2〜3倍⻑くとって各⼾の独⽴性を⾼めることに成功している。住棟はすべてRC造壁式構造の3階建てで、間口6.36mを1つのユニットとして、当該ユニットの3層分の空間を2⼾の住居に分ける。プランは1階を1⼾として、2、3階を別の1⼾とする(フラット+メゾネット)タイプと1階と2階の半分を1⼾、2階の残り半分と3階を1⼾とする(メゾネット+メゾネット)タイプがある。2階に⽞関を持つ住⼾は、すべて専⽤の屋外階段で街路とつながり、各⼾の独⽴性に配慮されている。
当団地は丹下健三⽒の計画による国内でも数少ない住宅団地である点、また、集合住宅の住環境の向上が求められた時代における、優れた回答事例として、評価することができる。