香川県026

丸⻲市猪熊弦一郎現代美術館・丸⻲市⽴中央図書館

  • 1991年竣工
  • 設計/谷口建築設計研究所
  • 施工/鹿島建設四国支店
  • 構造形式/鉄骨鉄筋コンクリート造 地上4階、地下1階、塔屋1階
  • 用途/文化施設
  • 所在地/香川県丸⻲市浜町80-1

市制90周年の節⽬に、かねてより市⺠の希望が⾼かった美術館建設を丸⻲市に縁の深い油彩画家・猪熊弦⼀郎画伯に協⼒を求めていたところ、「美術館は市⺠が⽇常⽣活をしている町のなかにあって、⼈々の憩いの場、ふれあいの場となるものでなければならない」との助⾔があった。それがJRの⾼架化に合わせて丸⻲駅前の市街地再開発の事業と合致し、全国で初めてといわれる「JR駅前の美術館」の試みが誕⽣し、建設計画が始まる。図書館も動線を明確に分け、併設された。設計は、猪熊画伯から推薦された⾕⼝吉⽣が担当し、猪熊画伯と⾕⼝⽒が対話を重ねながら、作家の思いや作品を最⼤限に活かす空間づくりを⾏った。2⼈による共同作業は、展⽰空間に始まり、⼤型オブジェと作品の関係、サイン類のデザインから家具の選択まで、多岐にわたっている。駅前広場や美術館の外構設計は、アメリカのランドスケープ・アーキテクトのピーター・ウォーカー⽒が担当し、美術館が孤⽴した存在ではなく、外部空間となる階段より上がった美術館3階屋上広場までが駅前空間となるよう設計されている。建物正⾯には、猪熊画伯が描かれた絵が壁⼀⾯に広がり、創造の広場と名付けられた吹き抜け⼤空間には⼤型のオブジェが数点設置されている。建物内部はハイサイドから⾃然光が⼊る⼤きな空間で構成され、猪熊画伯の常設展⽰室と企画展⽰室が吹き抜け空間を挟んで連なっている。平成30〜31(2018〜2019)年に⻑寿命化⼯事が実施された。
美術館部分は公益財団法⼈ミモカ美術振興財団(ミモカ財団)が運営し、中央図書館は丸⻲市の直営である。「こどもたちの未知の才能を引き出す⼿助けをして欲しい」という猪熊画伯の思いに基づき、美術館は⾼校⽣以下を⼊場無料とし、⼩中学⽣対象に無料のワークショップを毎⽉開催する。⼤⼈を対象としたオープンワークショップもあり、市⺠に親しまれる「まちの美術館」としても⾼く評価できる。