香川県027

高松商工会議所会館

  • 1991年竣工
  • 設計/日建設計
  • 施工/建築工事:西松建設 四国支店
  • 構造形式/鉄骨鉄筋コンクリート造 地上6階、地下1階 銅板葺
  • 用途/商業・事務所建築
  • 所在地/香川県高松市番町二丁目

⾼松商⼯会議所会館は、⾼松市街地中⼼部の県道173号線沿いに位置する。
所有者の⾼松商⼯会議所は、「商⼯会議所法」(昭和28年制定)に基づいて設⽴された「特別認可法⼈」であり、明治13年に四国で最初に設⽴された⾼松商法会議所がその前⾝である。
当会館は地上6階、地下1階の鉄⾻鉄筋コンクリート造で、低層部と⾼層部からなる。 外壁は主に磁器質タイルで仕上げられるが、エントランス周辺は花崗岩貼りである。道路側壁⾯には⾓型の開⼝部が整然と配され、シンプルな軒蛇腹とともに最上部に並ぶ五⾓形の飾窓と相まって端正なファサードを構成する。
建物東側の⾼層部は1階に⽞関ホール、相談コーナー、2階にロビー、会議室、3階に役員室と応接室、さらに4・5階には⼤⼩の会議室が配されており、⻄側の低層部は主に⼤ホールと事務局からなる。それら⾼層部と低層部は、⽞関ホールに設けられた4層にわたる吹抜けによって統合され、本建築の特徴となす。
⾼層部の屋根は⼀部が⽋き取られたような寄棟屋根だが、低層部は⻄⾯と南北⾯の⼆⽅向へ流れる変形の寄棟屋根となり、ともに硫化いぶし仕上の銅板⼀⽂字葺きである。 箱樋のディールや5階天井に設けられたトップライト周辺の納まりといった詳細部の設計には設計者の細やかな⼼遣いが⾒て取れ、余裕すら感じられる。計画の時期が昭和末頃であったこともその理由のひとつであろう。
本会館は⾼松商⼯会議所創⽴110周年記念事業として計画⽴案され、平成3年(1991年)2⽉に竣⼯した。設計・監理は(株)⽇建設計であるが、施⼯は建築⼯事が⻄松建設(株)四国⽀店、電気⼯事が(株)四電⼯⾹川⽀店、空調⼯事が扶桑建設⼯業(株)(現(株)フソウ)、設備⼯事が三喜⼯事(株)、EV⼯事が三菱電機(株)四国⽀社と、各⼯種にわけて発注された。また、建設費の⼤部分は⾼松商⼯会議所の役員、議員、会員及び関連団体の負担⾦や寄付⾦からなり、後の世代に負担を残さぬよう借⼊⾦が⽤いられなかったことも特筆に値する。
本会館はともすると中⼼市街地にあるオフィスビルのひとつとして⾒過ごされがちであるが、その主要部分は会員企業の交流や研修、或いは商談のための諸室からなり、建設から30年ほど経った現在でも建物そのものが地域の経済活動の⼀端を担っていると⾔っても過⾔ではない。そのような観点から、地域社会で親しく利⽤され続けている建築として評価できる。