鹿児島県006

徳之島町立 山小学校

  • 1953年竣工
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造 地上2階
  • 用途/学校建築
  • 所在地/鹿児島大島郡徳之島町山1808

奄美群島復興事業での昭和28年竣工とされる小学校だが、奄美群島復興特別措置法(奄美群島振興特別措置法S.39の前身)は昭和29年施行なので矛盾する。復帰前の沖縄で行われた米国民政府の琉球教育法を奄美群島に適用して建設されたと考えられる。米国民政府工務交通局の基本設計に倣った二階建4教室の校舎である。外観上に特徴がある。各階の教室南側に廊下を配すが、いずれも壁と建具を持たず、天井スラブで雨を避けるだけの吹きさらし状態で屋外廊下と言って良い。9.1×7.3メートルの教室を各階に2室、計4教室からなる。西側の3.5メートル1スパンを階段室として上下を繋ぐ。
構造の基本はRCラーメン構造だが、二階廊下の上部には桁行き方向の梁が見られない。屋上スラブを柱と梁で支えている。一階でも桁方向の梁が見られないものの、二階床スラブ上に低い腰壁があって逆T字の梁として機能しているようである。二階廊下には従来から低いフェンスがあったが現在では新しい。
建具は、本来の木製建具が階段室北側全面と一階北側に残って機能しているが、教室の一階南側と二階の全てがアルミサッシュに替えられている。
当初の教室はそのまま普通教室と多目的室に使われているが、階段室を挟んで西側に、廊下幅一杯に音楽室と理科室を新規に増築した。
建築の現状では、耐震診断で問題は報告されていないが、各階廊下の天井部で、ちょうど桁行の梁が存在すべき部分のコンクリートが剥落し、鉄筋が露出している。錆止めと思われる塗装を施してあるが充分でなく、腐食・剥落の進行は否定できない。児童への安全対策が望まれる。