鹿児島県015

鹿児島県立薩南工業高等学校本校舎

  • 1964年竣工
  • 設計/鹿児島県土木部建築課
  • 施工/鶴留建設
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造 地上4階、塔屋1階
  • 用途/学校建築
  • 所在地/鹿児島県南九州市知覧町郡5332

南九州市知覧町の市街地に位置する鹿児島県立薩南工業高等学校は、明治42年(1909)に知覧村立工業徒弟学校として設立され建築科が設置された後、大正15年(1926)に鹿児島県立薩南工業学校となり、時代変遷を経て昭和34年に鹿児島県立薩南工業高等学校に改称された。
校舎本館は、鹿児島県土木部建築課による設計で、構造計算を同校建築課の教諭が行っており、昭和37年~39年(1962~1964)に建設された4階建て(塔屋1階)の学校建築である。梁にハンチの付いた張間方向のワンスパンのRCラーメン構造で、南北面の外壁は、柱の内側に天窓、腰窓、地窓を付け、それぞれの間に庇を設けるとともに、北側にある廊下と教室等諸室との間の内部壁にも腰窓と地窓を設け、日射遮蔽、採光、通風などに配慮したパッシブデザインの考え方を設計に取り入れている点が特徴的である。このことにより垂直に立ち並ぶ柱と桁行方向の梁や庇を活かした外観のデザインとなっており、当時の高等学校整備における設計の基本プランを示している。
平成17年~18年度(2005~2006)に実施した耐震補強工事の実施により、外観のデザインとのバランスや教室等の採光等に配慮しつつ耐震壁が増設されるなど一部外観が変わっている。敷地の北側を流れる麓川に沿って配置され、上空から見ると「への字型」となっていることから、生徒や学校関係者等から「ブーメラン校舎」とも呼ばれ、地域に親しまれている。