鹿児島県019

鹿児島県産業会館

  • 1967年竣工
  • 設計/内藤建築事務所
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造 地上7階、地下1階、塔屋
  • 用途/文化施設、商業・事務所建築
  • 所在地/鹿児島県鹿児島市名山町

鹿児島県及び県内商工団体等が出資し入居するオフィスビル兼多目的ホールで、鹿児島県総合体育センター体育館(1960年)の設計者でもある内藤建築事務所の設計で1967年に竣工した複合施設である。2階にホールを浮かせ、その下のピロティを支えるための打放しの変形柱から4方向に梁が突出したブルータリズムの外観である。ホールの外装は西洋美術館(1959)、東京文化会館(1961)と同じ砕石を打ち込んだPC版で覆われている。館内の内部材料はコンクリート打放しと質素な素材の組み合わせで展開されている。現在ピロティ空間には店舗が増築されているが、それに続く吹抜けのエントランス空間には、2階ホールを繋ぐ自立したRCの壁を回る階段や螺旋階段が配され、1960年代のモダンムーブメントらしい内部空間が見られる。オフィスの外装もホールと同様のPC版とコの字の縦リブ+細長窓、正方形に近いアルミ建具と幾何学的な構成で、そのオフィス平面は均整のとれたセンターコア型である。また、さきの2階約380人の固定席ホールの仕上げは木製で落ち着きあるインテリアとなっている。以上から県内の1960年代のモダンムーブメントの代表作として評価できる。なお、現在、事務所は地上階1階から7階まで利用され、地下は機械室である。しかし、PC版の砕石の落下や爆裂があり、1階に庇を設けているが、抜本的な対策となっておらず、存続が難しい状況にある。