岡山県010

日笠地区公民館

  • 1972年竣工
  • 設計/川崎清+環境・建築研究所
  • 施工/小林工業、設備:中国電気工業
  • 構造形式/鉄構造 地上2階 鉄板葺
  • 用途/文化施設
  • 所在地/岡山県和気郡和気町日笠上86-1

敷地は岡山県南東に位置する人口1万3千ほどの和気町の中心部から山を一つ越えたのどかな田園風景が広がる日笠地区にあり、脇を吉井川の支流日笠川が流れている。日笠の地域住民が計画や建設実現に力を尽くし、この地域の初めてのコミュニティ施設として1972年(昭和47年)に建築されることとなった。
同館はこれより2年前に建築された川崎清+環境・建築事務所の設計による和気町中央公民館の分館で、京都大学大学院在学中でもあった高松伸が担当した。川崎は、和気で3作を手掛けているが、2作目の分館、3作目の町立藤野幼稚園は高松が担当している。
小学校の隣に計画された分館は、白く塗装された鉄骨の柱梁とコンクリートブロックの壁をあらわしの仕上としている。開口部は、大小正方形を意識したフレームや格子形状でまとめられている。正面2階の張り出したボックスは、階段を上がり切った場所のたまりで、1本の丸柱のみで軽快に浮いている。
川崎は出入口から共用空間のロビーを貫く東西の軸線を基準として、軸線から各室、2階へと展開するプランとした。ロビーの東西をガラスで開放した軸線の先には敷地の外れにあった古い桜の木とその背景の日笠川が据わるように配置した。樹木等をシンボリックに用いて風土を建築へ取り入れる川崎の環境建築の手法の一つである。