岡山県020

ベネッセ・コーポレーション本社ビル

  • 1990年竣工
  • 設計/日建設計(大阪)
  • 施工/鹿島建設・大本組共同企業体
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造および鉄骨造 地上14階、地下3階、塔屋2階
  • 用途/商業・事務所建築
  • 所在地/岡山県岡山市北区南方三丁目7-17

ベネッセコーポレーション本社ビルは、JR岡山駅より北東へ約1.5kmに位置し、発祥の地という由緒だけではなく、同社にとって永年の夢であった地域文化の育成と豊かな街環境の拠点として計画された。
敷地は周囲の風景や風土を生かせる環境との連続性を大切にした全体計画が見て取れ、備前焼きの大型陶板を積み上げ、積極的に街の風景を公園化した。
この建築は、日建設計大阪オフィスにより設計され1990年(平成2年)に竣工した。岡山では初期の高層ビルである。単なる公開空地を超えた街の公園として計画され、地階から1~2階低層部に世界的な画家である国吉康雄コレクションの美術館(現在は資料館)を核とした種々の彫刻や絵画の展示、世界の雑誌を並べるギャラリーを配置するとともに、地階大ホールホワイエ、さらにサンクンガーデンに連なる一体化された空間を公開空地として一般に開放した。
建築空間も温暖な瀬戸内気候にあり、自然と一体であった日本の伝統的空間手法を追求して、地下大ホールは古い寺の本堂のごとく、すべての仕切りを開くとそのままサンクンガーデンへ広がる大ホールとなり、公開空地としたエントランスホールは庭口の自然を取り込んだ広い縁といった趣きを醸し出した。
オフィスは3階から14階に位置し、「人と人の語らい」を大切にすることをテーマとしてコアの開放を図り、“コア”内の廊下・階段を広いギャラリー空間として、オフィスと一体化、柱や固定壁をなくすだけでなく、上下階を分断するコミュニティの“壁”も取り払った。オフィスには全面コルク、語らいの場にはサンクンガーデンから屋上庭園まで板貼りなどの自然素材の感触や視覚によりやさしい空間となった。
オフィスの窓からは旭川から岡山後楽園へと至る自慢の風景を見渡せる部分をすべてガラスのみとした特殊サッシュとしている。
企業の事務所建築でありながら、公開空地の概念を建築内部にまで取り込み積極的に地域開放を行っており、建設時に於ける時代の最先端となっており、全体形状も大変スッキリした安定感のあるデザインは地域のシンボルとして親しまれている。