岡山県024

岡山県営住宅中庄団地

  • 1993年竣工
  • 設計/丹田悦雄・空間工房(都市・建築設計事務所)+協同組合岡山県設計技術センター(白金史郎、大丸松治、八代健好)
  • 施工/山陽工務店・山室建設・三宅建設・大森工務店・赤木建設・奥村建設
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造 1号棟:地上5階、2~9号棟:地上1~3階
  • 用途/住宅建築
  • 所在地/岡山県倉敷市中庄団地

岡山県営住宅中庄団地は、倉敷市中庄地区に1961年に造成建設された県営団地が1990年代に老朽化し、その建て替え計画として実施された。第1期は、「クリエイティブTOWN岡山」(CTO)の初期プロジェクトとして平成5年(1993年)に丹田悦雄・空間工房+(協)岡山県設計技術センターの設計により建設された。CTOは住民に愛され親しまれるまちづくりとして施設整備を行って地域の魅力増進を目的とした事業で、1991年に岡田新一をコミッショナーに迎えスタートした。建替計画は、岡田が4期に分割することを提示し各期にキーセンテンス(統括条件)を与えた。第1期の条件は、(1)周辺との関係を考える、(2)内側に空間をもち(セミプライベート、セミパブリック)関係を考える、(3)スカイラインを考える等で周辺環境、素材にまで及んだ。
敷地西側には道路、六間川があり、リニア棟が湾曲しながら配置されコンクリート打放しの外壁とリズミカルなスカイラインが都市空間を形成している。リニア棟の背後にはグリッド状の敷地に、矩形のポイント棟が配置され、高齢者や身体障害者用の住戸として使用されており植栽、ベンチや塀等を設置し集合住宅としては、達成が難しいランドスケープと住戸との関係性がある集落のような環境を形成している。
住戸計画は家族のコミュニケーションの誘因のため、当時計画された廊下(外部)からリビングにアクセスする「リビングアクセス」を採用し襖を外せば1つの空間になるプランとしている。コミュニティ醸成の為にパブリックスペース、プライベートスペース、中間にセミバブリックスペースという領域の絡み合わせを意図した計画とし、リニア棟には、セミパブリックスペースとの関係性と公共性の為にペデストリアンデッキが設置され、県営住宅としてまた地域の風景として役割を果たしている。90年代初頭、これまでの画一的な住棟を平行配置した団地計画から脱した、意欲的な集合住宅団地のひとつである。