静岡県005

本一ビル

  • 1961年竣工
  • 設計/三村・野生司協同建築事務所
  • 施工/石井組
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造 地上3階(一部4階)
  • 用途/住居建築、商業・事務所建築
  • 所在地/静岡県富士市吉原

吉原本町商店街に1961年に建てられた共同建築ビル。設計は三村・野生司協同建築事務所。敷地は旧東海道沿いに形成された商店街で、当該地区における最初の耐火建築物であった。設計図には昭和35年9月の日付があり竣工は昭和36年3月とみられる。この時点では耐火建築促進法に基づく防火建築帯をなす建築物であったが、同年6月に同法は防災建築街区造成法へと発展したので、その後の防災建築街区の端緒となった。吉原本町の防災建築街区は、その後約500mにわたり、静岡市に匹敵する延長距離となった。
建物は東西に長い吉原本町商店街の東端南側に位置し、沿道95mにおよぶファサードを有している。これは当時、静岡県内につくられた防火建築帯・防災建築街区のうち、1つの建築物としては最も長い。土地所有に応じて間口が設定され、スパンにばらつきがあり、奥行も各階異なっている。大半は3階建てで東端の1スパンのみが4階を有する。用途は、1階はすべて店舗だが自社使用と貸店舗が混在している。2階は商店主の事務所、自宅、貸事務所であり、貸事務所の面積も様々である。3階は自宅、賃貸アパート、貸事務所である。このように、ひとつの共同ビルの中に様々な形態、用途が内包されているが、道路側立面は横長連続窓で統一されている。
当時、各地で建設されていた防火建築帯・防災建築街区における耐火建築物の典型をなすものであるとともに、当該地区でのその形成の端緒となった共同ビルと位置づけられる。
複数の所有者によって継続的に使用されているが、大きな改修としては1981年頃に西端の3スパン1階背後に立体駐車場が増築され、その導入路となる変更がなされている。