静岡県008

銀三ビル

  • 1969年竣工
  • 設計/山梨綜合設計事務所
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造 地上3階
  • 用途/住居建築、商業・事務所建築
  • 所在地/静岡県静岡市清水区銀座

清水銀座商店街に1969年に建てられた共同建築ビル。設計は山梨清松/山梨綜合設計事務所。旧東海道に沿って、延長約500mの清水銀座防災建築街区が、1968-1969年に建設された。このうち戸境壁を共有した8軒が東西に連なるのがこのビルで、設計を手掛けた山梨は丹下健三研究室の出身である。鉄筋コンクリート造3階建て、間口は約4.5-11.5m(2.5-6.3間)とかなり幅がある。東西の全長は52mを超え、壁面線が揃う一方、南北の奥行きは約15-6.4mの凸凹の平面形である。
このビルは断面に特徴があり、オーバーハングした2階がアーケードの役目を果たすダイナミックな構成である。1 階壁面で見ると、車道6m、歩道4mずつ、計14mの壁面間隔であるが、道路境界線は1階壁面線から2.8m道路寄りの歩道の半ばを通る。一方、2、3階の壁面線は道路境界線と同位置にあり、私有地を歩道空間に提供していることとなる。清水に先立つ沼津の「本通防火建築帯」がピロティによる歩道空間を形成していたが、清水では道路側端部の柱が無い分、開放性がさらに高い。アルミサッシを連窓として用いるのはこの時期の防災建築街区に共通の意匠であるが、ここでは2階に大きくガラス面を取り、3階壁面をセットバックさせてバルコニーを設け、大庇が水平ラインを強調している。横に長い防災建築街区の特徴をモダニズムの建築言語を用いてさらにダイナミックにまとめた例である。