静岡県009

大原富士宮ビガークラブ

  • 1969年竣工
  • 設計/芦原義信建築設計事務所
  • 施工/鹿島建設
  • 構造形式/構造形式/鉄筋コンクリート造 地上1~3階
  • 用途/研修所
  • 所在地/静岡県富士宮市上井出

海外駐在員養成のための全寮制研修施設「貿易研修センター」として1969年に開設され、1992年に学校法人大原学園大原簿記学校の研修施設となった。設計は芦原義信(1918-2003)。北東に富士山が間近に迫る南西斜面に、機能ごとに分かれた建物が立つ。
敷地を大きく3つのゾーンに分け、高いところから、教育・共用、宿泊・寮、教職員住宅に当てる。教育・共用ゾーンは 6 棟からなり(当初は5棟、早い段階で階段教室が増築されたと思われる)、それぞれが機能に応じて面積と立面を変えつつも、すべて1-2階の低層に押さえ、RC打放しに白い塗装を施している。最上部に事務棟、その下に講堂と教室、さらに下に多目的室(旧図書館)と食堂が配される。隣棟間隔はゆったりと取られ、各棟に囲まれた広場は、連なりつつも少しずつ異なったデザインとなっている。ここでは建築群が、それぞれの広場をつくり出すために入念に配置されており、建築と外部空間との一体性や景観の計画に意を尽くした設計者の力量が現れている。各棟間の連絡には部分的に回廊が設けられている。宿泊・寮ゾーンは講師宿舎棟と、雁行しながら連なる4棟の研修生棟からなる。研修生の部屋はすべて個室で、建設当時としては居住性の高い空間である。教職員住宅は36棟の一戸建て木造平屋であったが、現在は倉庫となっている。
所有者の変遷を経て、軽微な改修は各所にあるものの、主要部分は基本的に当初の姿を保って使われ続けている。雄大な自然環境の中で、理想のキャンパスを構想した設計者の意図が今も継承されている。