静岡県015

池田20世紀美術館

  • 1975年竣工
  • 設計/井上武吉
  • 施工/鹿島建設
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造および鉄骨造 地上1階、地下1階
  • 用途/文化施設
  • 所在地/静岡県伊東市十足 字関場

ニチレキ創業者の池田英一(1911-1982)のコレクションを展示するために建築された私設美術館である。1975年に完成し、20世紀美術を専門に展示する日本初の美術館とされている。設計は彫刻家の井上武吉(1930-1997)で、設計協力を松井文二建築設計事務所、構造設計を鈴木伸哉構造設計事務所が行った。その後、管理部分に少し手を加えたが、ほぼ創建当時のままである。
設計者が「傾斜地に半ば食い込み、半ば飛び出すように置いてみた」という、梨地仕上げのステンレス板で覆われた直方体の展示室が目を引く。美術館によれば、外壁にステンレス張りを用いたのは日本初の試みであった。展示室は大きく吹抜があり、一部をスキップフロアとして、展示作品に応じ変化を持たせている。展示室の採光は北向きのノコギリ屋根型トップライトより取り入れている。一方、エントランス、展示室への通路等はガラス張りとし、光を積極的に取り入れるとともに、中庭にある彫刻等を鑑賞できるようにしている。来館者はエントランスから、明るい通路を通り、階段で少し薄暗い展示室へと下り、スキップフロアを通りながら館内を巡っていく。来館者が一連の体験として鑑賞できるよう計画されている。