天然の入江を利用してつくられたイルカやアシカのショーで有名な水族館。1930年開設の中之島水族館以来の長い伝統をもつ。現在の施設は伊豆箱根鉄道によって、1977年に清家清(1918-2005)の設計で建設された。
建物は入口棟、主棟、水族館棟、管理事務所棟から構成され、入口棟からスロープで水族館棟に下り、これらの上部に主棟を直交して配置する。82.5mにおよぶ主棟が橋梁状に入江をまたぐ形になっている。主棟はコールテン鋼でつくられ、名古屋で建造後、海上輸送され、クレーン船で現場にセットされた。入口棟では長尺のアルミ押出材を用いたサッシュを構造材とする方法が取られている。また、水族館棟の内部には自然の岩場が露出している。立地の特性と建築の形態が不可分の関係をもっており、特に主棟の工法は技術的に特筆すべきでものである。
入江を取り囲むように各棟が配置され、訪問者は内外を回遊しながら、水族館と海獣のショーを楽しめるようになっている。
1999年に水族館棟の背後に立体駐車場、主棟南側に小スタジアムを増築し、2011年に耐震改修が行われているが、外観の形状は概ね保たれている。眺望のよい主棟2階は、レストランからキッズスペースに変更されているが、インテリアも基本的に変わっていない。