静岡県022

沼津市民文化センター

  • 1982年竣工
  • 設計/増沢建築設計事務所
  • 施工/住友建設・三井建設・大岡建設共同企業体
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造および鉄骨造 地上4階、地下1階
  • 用途/文化施設
  • 所在地/静岡県沼津市御幸町

沼津駅と香貫山の中間にある沼津東高校の跡地に計画された。深い木立を生かした緑深い環境の中に沼津市民文化センターは建っている。約10年かけて基礎調査から基礎構想が策定され、指名設計競技の上、増沢洵(1925-1990)/ 増沢設計事務所が選ばれた。設計者選びにはじまり、建築家と舞台や音響の専門家との共同の設計・建設のプロセスは当時としては画期的であった。
建物は周囲の環境に配慮し、高さを抑えた2階建で構成されている。独立したそれぞれのロビーをつなぐ共通コビーが確保され、豪華さはないが、市民が使いやすいように、吹き抜けのある展示ホールを持ち、各部門を空間的に融合させる構成として演出している。
大ホールはオペラも上演できる舞台設備と構成で、余裕のある客席である。内装も外壁と同じく炻器質タイルが張られており、包まれるような上品なホールである。
小ホールは大ホール並みの舞台寸法が取られ、客席は大ホールより広く取られている。内装は木が張られ、市民に多目的に使用されている。
奥にある和室群も、書院形式の座敷型と草案風の茶室も数室あり、茶道に合わせた庭もある。
2階には会議室群が集まり、中でも大会議室は扇型をした平面で、どこからでも中央が見られる配置になっている。管理部門は半地下階にあり、裏方より各部門を管理しやすくなっている。築38年の建物ではあるが、管理がしっかりとなされており、今後も市民が使い続けていく、真の市民のためのホールといえる。