静岡県025

袋井市立袋井図書館

  • 1987年竣工
  • 設計/鬼頭梓建築設計事務所
  • 施工/丸明建設
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造 地上2階、地下1階
  • 用途/文化施設
  • 所在地/静岡県袋井市高尾町

袋井市の図書館として1987年に竣工した(供用開始は翌年)。設計は鬼頭梓(1926-2008)。当時の市長が、設計者の代表作として知られる日野市立中央図書館を視察し、設計を依頼したという。
袋井駅と市役所の中間の市街地に位置し、来館者入口を南に、搬入口を西に取る。北は原野谷川の堤防に、東は公園に面している。外壁は焼過ようかんレンガとコンクリート打放しの構成で、落ち着いた外観を見せる。1階を敷地形状に合わせる一方、2階は単純な短形とし、入口側の外観に2つのボリュームが現れている。
1階は中央入口の正面に敷地の形状を反映した斜めのカウンターを設け、これを境に、堤防に面した北東側を開架図書室、南西側を児童図書館とする。南東側は2階への階段を境にブラウジングコーナーとし、南側に大きなガラス窓を設けるともに、上部を吹抜として館内全体に明るい光をもたらしている。フラットフロア、ノーステップの、見通しの良い簡明な平面構成で、動線や照度によって空間を性格付けしている。2階は開架図書館、閲覧室(開館時は展示室)、レファレンス室、事務室がある。
書架、机、椅子等も設計者によるオリジナルで、特に書架は下段を斜めにして、本の背を見やすくするとともに、上段が圧迫感を与えないデザインである。図書館建築の第一人者として定評が高かった設計者の思想がうかがえる(全25作中14作目)、建築と家具が一体的となった空間を構成し、現在も大切に使用されている。