静岡県027

サールナートホール 宝泰寺檀信徒会館

  • 1995年竣工
  • 設計/高木慈生建築設計事務所
  • 施工/藤本工務店
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造 地上3階
  • 用途/宗教建築、文化施設
  • 所在地/静岡県静岡市葵区御幸町

静岡駅から近く、中心市街地の由緒ある寺院と、通りを隔てて建っている。設計は高木滋生(1936-2013)。ホールは外壁の特注された織部レンガの肌理のがさつき感と色合いによって、地面から這い上がってきたように感じさせている。仏教聖地サールナートの理念を造形化したという。大中小3本の円柱をファサードの基本造形要素とし、後部にまとめられた直方体のマッスと対照的な空間構成である。
レンガと装飾的なH型鋼との取り合わせが巧く、また玄関アプローチのわずか10mmのアルミ板の庇は刀が空を切るような緊張感を与えており、対比的に玄関の木の格子戸が柔らかな感触を醸し出している。
240席のホールは、洞窟の内部をイメージさせ、優れた音響環境をもったヒューマンスケールで親密な空間である。
1階のホワイエや喫茶コーナー、2階の子供の広場と名付けられた休憩空間は円弧を描くかたちに縁どられ、中庭や吹き抜けをつなぐ空間構成の妙を感じさせる。緩く弧を描くホワイエの延長上に内径3.5m、高さ11mの巨大な円筒形の瞑想空間に描かれた仏像三体などが精神性の高い香りを漂わせている。