神奈川県008

シルクセンター国際貿易観光会館

  • 1959年竣工
  • 設計/坂倉準三建築研究所
  • 施工/鹿島建設
  • 構造形式/鉄骨鉄筋コンクリート造地上8階地下2階建、陸屋根、塔屋3階付
  • 用途/文化施設
  • 所在地/神奈川県横浜市中区

横浜開港100周年記念事業の一環で建設された貿易・観光振興のための複合施設で、県・市の合同事業として計画され、県が工事費を支出し、横浜市の所有していた「英一番館跡地」に建設された。設計者は指名コンペにより坂倉準三が選ばれた。建物は低層部と高層部で機能、構造、意匠が分離され、低層部には貿易振興のためのシルク博物館、事務所、店舗などが入り、高層部には観光ホテルが設けられた。
外観意匠は、入港する船舶の目標となる建物であることも意図され、骨太な大スパン構造の低層部の上に屋上庭園を配し、その庭に上層部のホテルの軽快なガラス面とスラブ・庇の水平ラインが浮かぶようにデザインされた。内部は、低層部の1・2階にはスキップフロアや吹き抜けなど自由な空間が確保され、上層部はホテル客室の遮音性とプライバシー、眺望を考慮し、内側に壁式構造が採用された。
基礎にはフローティング・ファウンデーションシステムが用いられ、高層の中央部がもたらす下部粘土層への弓型の不同沈下に対し、中央部コア下に地下2階を設けることで、底盤部への圧力の低減が工夫された。また、大スパンの低層部外周とコアのみにSRCを採用しその他をRCとしてコスト減をはかっている。
当初ホテルだった上層部は現在、SOHOとして使用されている。近年、低層部には耐震補強工事が施された。

受賞歴等/BCS賞・照明学会賞・神奈川県建築コンクール入賞