神奈川県011

横浜マリンタワー

  • 1961年竣工
  • 設計/清水建設株式会社設計部
  • 施工/清水建設株式会社
  • 構造形式/鉄骨造33階建(塔体部)、鉄骨鉄筋コンクリート造4階建、陸屋根(低層部)
  • 用途/商業・事務所建築
  • 所在地/神奈川県横浜市中区

横浜開港100周年記念事業として建設された『港横浜のシンボルタワー』は、当初は世界一高い灯台としての機能を持つ高さ106mの鉄骨造の塔として、山下公園と一体的に整備された。円錐台状の基礎の上に構築された4階建て円形低層部の上に載る塔体は、外面が10角形となるように鉄骨を中央コアとで立体的に組み、風の透過性を考慮したトラス構造で2層の展望台まで細くすぼむ形状であり、黄赤と白7等分に塗り分けられていた。塔頂部には制振装置『スーパースロッシングダンパー』の水槽を並べ、台風・地震による揺れを抑えている。塔の総重量の0.3%にあたる量の水が必要で、設置場所により水槽サイズと台数が変わる。
全面改修を期に、展望台上部の機械室や塔頂部に設置された灯台を廃止し、タワーの特性を生かし周辺地区の活性化、賑わい創出拠点として2009(平成21)年に再生された。すなわち、低層部に機械棟を増築し、EVや階段を増設することで展望台へのアクセスなど利便性向上を図り、また耐震補強として展望台下部の一部に座屈への補強としてブレース材を追加し、塔体の下部ではブレース材の取替えなどを行った。塔体の外面は、高耐食性の塗装で銀色に変わり、内面はブラウンオリーブ色に塗替えられた。
展望台は、一周20面の高遮熱性大型ガラスサッシで覆われ、360度を一望できる。低層部は山下公園側をガラス素材とし開放感を醸し出し、中華街などと連携してこの地域における回遊性を創出するなど、港横浜のランドマークとして今もなお訪れる人に親しまれ続けている。