神奈川県014

湯河原町役場

  • 1962年竣工
  • 設計/佐藤茂次建築事務所
  • 施工/小沢土建工業K.K.
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造地上4階地下1階建、陸屋根、塔屋1階付
  • 用途/官公庁舎
  • 所在地/神奈川県足柄下郡湯河原町

湯河原駅よりやや東の小高い丘の上にある湯河原町役場は、敷地の中央に東西方向に横たわるように配置され、南北両方向からのアプローチが可能である。建物は、比較的単純な直方体の建物で、動線の短縮を図り、各部屋や議場が立体的に配置された。
外観は、客船をイメージした白と群青色のタイルを張り分けた特徴的な意匠で、内観は、リズミカルに連なる小梁や、躯体そのものをレリーフとして用いた玄関ロビー、屋上に現れる議場上部の現代アートのような天窓など、見どころが多い。
近年の人口増加や設備更新などの問題については、2度の増築により対応しているが、階段の床や蹴上、巾木や階数表示などにみられる美しい人造石研ぎ出し仕上げ、壁の黒漆喰風やプラスターの掻き落とし風仕上げなど、竣工当時の仕上げもほぼそのまま残っている。ただし、使用頻度の高い一部(1階玄関ロビーから事務スペースにかけて)の床仕上げは改変された。各部の修繕、動線の整理、デッドスペースの有効活用により、今後も十分活用できる建物と思われる。