神奈川県015

野毛都橋商店街ビル

  • 1964年竣工
  • 設計/創和建築設計事務所
  • 施工/株式会社小俣組
  • 構造形式/鉄骨造地上2階地下1階建、陸屋根鉄板葺
  • 用途/商業・事務所建築
  • 所在地/神奈川県横浜市中区

野毛都橋商店街ビルは、戦後に野毛本通りなどの路上で営業していた露店を東京オリンピックまでに撤去したい市の意向を受け、露天商を収容するために1964(昭和39)年に河川沿いの道路上に建設された、軽量鉄骨造2階建ての共同店舗である。
敷地は、都橋から宮川橋までの大岡川沿いの河川上空と道路用地で、建物は、河川の形状に沿って約90mの長さで緩やかなカーブを描いて配置されている。1階の店舗は正面を道路側に向け、2階の店舗は正面を河川側に向けており、両面に正面を向けた特徴的なファサードとなっている。また、道路側は道路に張り出した庇が、河川側はバルコニー状に張り出した2階店舗用の通路がそれぞれ建物の水平感と一体感を強調している。
露天商収容建築として横浜の戦後復興の歴史を伝える貴重な建物であるとともに、現在でも飲食店街として地域に親しまれている建物であり、多くのメディアにも取り上げられている。河川と一体化した弧状の建物は他にはあまり例がなく、野毛地区の特徴的な景観を形成している点が評価され、2016(平成28)年には横浜市の歴史的建造物に戦後建築として初めて登録され、また2017(平成29)年12月には公益社団法人・横浜歴史資産調査会(ヨコハマヘリテイジ)に寄贈された。