小田急相模大野駅の北側に位置する相模女子大学は幼稚園から大学までを含む学園で、その中心となる大学本館の建物が1号館である。建築計画の第一人者によって設計された、個性的な造形を持つ当時の大学建築の代表作の一つである。
建物は東西方向に長い鉄筋コンクリート造4階建てで、垂直に立ち並ぶ壁柱と、2層分のピロティ、そして4層吹抜けで設けられた外階段と内階段2つのコアが強い印象を与える。竣工時には4層の吹抜空間が敷地全体のゲートのようであったが、現在は前庭のヒマラヤスギがその印象を柔らげている。
3,4階に集約された教室は、2つのコアで3分割された中央に150人の大教室を、両翼に100人の中教室と50人の小教室を配置している。1,2階のピロティには会議室・研究室が部分的に挿入されている。
外壁の仕上げをRC打ち放しとし、巨大な壁柱と薄いスラブ、手摺やルーバーなどで構成されたストイックなまでに装飾を廃したファサードには、従来の女子大のイメージとは大きくかけ離れた印象を受けるが、これは「女子大生亡国論」が囁かれ始めた時代に設計者が現代の女子大生に求めた厳しさの表現であるという。