名門といわれるスリーハンドレッドクラブ（昭和37年9月開場）のゴルフ場近くに、湘南の高台から海を眺め来客が楽しむために建てられた住宅である。眺めの良い2階に玄関・居間・食堂などの日常生活の場を置き、庭に面する1階には客用の日本間などが設けられた。構造は、1階が鉄筋コンクリート造、2階を木造としているが上部は鉄骨梁を併用して大スパンを可能にしている。
この住宅の中心は、玄関から入ってすぐの大空間の居間・食堂で、その南面には床から天井まである大きなスチールサッシを用い、テラスや建設当初には海を望めたという南側の斜面に向けて開放的な造りとなっている。スチールサッシの手前の引き込み障子や内装材に使用されているラワンベニヤの仕上げ材の他、この家で初めて試みられた框と桟が同じ太さの障子など、吉村順三らしいディテールを数多く見ることができる。
2008（平成20）年に現所有者の2世帯住宅として改修され、居室の使い方の変更や設備機器の更新、耐震補強などが施されたが、原設計を尊重した改修がなされ、当初の姿をよく留めている。
受賞歴等／神奈川県建築コンクール佳作賞
