神奈川県022

鎌倉商工会議所会館

  • 1969年竣工
  • 設計/早稲田大学武基雄計画研究室
  • 施工/株式会社藤田組
  • 構造形式/鉄骨鉄筋コンクリート造地上3階地下1階建、陸屋根
  • 用途/文化施設
  • 所在地/神奈川県鎌倉市

鎌倉市役所の向かいに建つ鎌倉商工会議所会館は、1969(昭和44)年竣工の建物で、地下にホール、1階に展示室と喫茶室が計画され、2階に事務室、3階に会議室を持つ。無柱の平面を持つ2階床のワッフルスラブを4本の柱上にピン構造で支え、1階の外周壁をガラスのカーテンウォールとすることで、スラブが宙に浮かんでいるように見せている。
設計者は、戦後の早稲田大学を代表するプロフェッサー・アーキテクトである武基雄である。本作では日本建築の屋根の形態を現代建築に再現することをテーマに設計がなされており、深く突き出た軒によって陰影ができる様子は、古建築の持つ空間を再現しているようにも見える。また地階から3階まで用途の異なる空間に格子梁天井の全面照明を試み、モデュールを繰り返し使うことで統一感ももたらしている。1985(昭和60)年に大規模改修を行い、屋上防水を改修するなど手入れをしているが、会議室の壁仕上げなど、竣工時から変わらない部分も多く、地下ホールは壁面の古文字を題材としたレリーフなどが竣工当時のまま生かされている。鎌倉の緑に溶け込んだ現代建築は健在である。