神奈川県023

箱根彫刻の森美術館本館ギャラリー

  • 1969年竣工
  • 設計/井上武吉・吉嶋建築事務所
  • 施工/鹿島建設株式会社
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造2階建、陸屋根
  • 用途/文化施設
  • 所在地/神奈川県足柄下郡箱根町

彫刻の森美術館は、日本で初めての本格的な美術品の屋外展示施設として開設され、開放的な自然の中で新しい展示空間を創造するという考えに基づき、現代美術の彫刻家である井上武吉(1930-1997)により設計(実施設計は吉嶋建築設計事務所)された。
本館ギャラリーは、あくまでも屋外展示場を含めた美術館の一部を構成するという考えで設計されている。空間構成は明確で、1階は屋外展示空間に面してガラス面を広くとった空間とし、対照的に2階は量塊感のあるコンクリートの矩形が宙に持ち上げられたような形態で開口部を制限した展示空間としている。井上武吉は、室内の展示空間と自然と調和した開放的な屋外空間とを連続させることで、現代美術のもつ自由さを表現しようとした。
当初の外壁は木目を活かしたコンクリート打ち放し仕上げで、汚れ等のため後年の改修ではつり仕上げに変更されたが、量塊感は損なわれていない。段差が多く、バリアフリーに対応していない施設であるが、管理者のサポートによって適切な運用がなされている。