神奈川県032

横浜市立川和中学校

  • 1980年竣工
  • 設計/槇総合計画事務所
  • 施工/花崎産業
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造3階建、陸屋根、塔屋1階付
  • 用途/学校建築
  • 所在地/神奈川県横浜市都筑区

港北ニュータウンの開発に先立ち、その西端の丘の上に新設された公立の中学校である。ニュータウン内の公園に接した緑豊かな環境にあり、緑道に面して正門を設けている。
同時に発表された同じ設計者による並木第一小学校が教育方法や地域開放など建築計画上の新しいテーマに基づいて設計されたのに対し、川和中学校では標準設計として規定された各室の平面はそのままに、配置計画や建築形態、空間の工夫によって個性的な建築「群」を生み出し、内外の街路空間に多様な機能を配置することで生まれる小さな空間の豊かさが追求された。内部では職員室前のベンチのある明るい廊下、スケール感の小さな屋内運動場前の談話コーナーなどが、外部では櫓を中心に外に拡がる空間がそうした場所であり、そこで勉強する者、活動する者、通り抜ける者など、標準設計にはない「出会い」を生む豊かな空間がそこに生み出されている。
一方で、造形的な挑戦は視線上の死角を生み、また光、熱、音環境に解決すべき問題を残している。人口増による普通校舎の増築が当初から見込まれ、数年後に増築された。