神奈川県034

GAZEBO

  • 1986年竣工
  • 設計/株式会社山本理顕設計工場
  • 施工/青木建設
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造4階建、陸屋根
  • 用途/住居建築
  • 所在地/神奈川県横浜市神奈川区

軽やかなテントやステンレスのメッシュに覆われた4階建ての雑居ビルで、3階の一部と4階が設計者の住居である。横浜駅から徒歩20分の都心にあるこの地で育った設計者は、薬局を営んでいた母とその妹、同業の妻と乳児との住まいを、かつて自身が地域で育ったような多様性のある暮らしを支える現代の住まいとして造った。
幹線道路に面し、1階は店舗、2,3階は貸室だが、3階の一部には主玄関と夫婦の居室を設け、4階には母たちの居室と内玄関・水廻り、そして中庭を挟んで共有のダイニングキッチンを配置する。この中庭には3階の主玄関から直接出入りすることができ、ダイニングキッチンに居ても母の様子がわかるように程よい距離が保たれている。近隣の雑居ビルの屋上階居住者も地元の人たちであり、朝の植木鉢の水やりなどで路地越しに挨拶を交わすなど、かつての緩やかな地域社会が地上から10mの上空に移動したような造りとなっている。
その後、家族の成長・体調に対応して4回の大きな改修工事が成されたが、変わったのは間仕切りのみであり、中庭を囲む暮らしは変わっていない。将来の住まい方は未定とのことだが、初めから核家族限定の暮らしを前提にはしていない小規模多機能住宅である。背後の斜面緑地ともつながり、豊かな自然環境をも取り込んでいる。

受賞歴等/学会賞