神奈川県036

三渓記念館

  • 1988年竣工
  • 設計/大江宏建築事務所
  • 施工/戸田・関建設共同体
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造平屋建、寄棟造銅板葺
  • 用途/文化施設
  • 所在地/神奈川県横浜市中区

三渓記念館は、原三渓(1868-1939)の紹介や所蔵美術品の展示・紹介を行う施設で、原が数々の古建築を移築して作り上げた三溪園の外苑と内苑の境に位置している。
建物の平面構成は、大きく展示室と収蔵庫からなる6つの棟を雁行させて配置し、南側に設けた池に面して開放的なロビーや貴賓室を配し、北側に閉鎖的な収蔵庫を寄せている。軒の高い建物には下家を付設して高さを抑えるなど、雁行形の平面と屋根の変化によって、建物を周囲の庭園と調和させようとする工夫がみられる。
全体的に和風の意匠でまとめつつ、細部に控えめながらも様々な意匠が施されており、外部では閉鎖的な展示室や収蔵庫の外壁に菱形に凹凸がつけた装飾が施され、内部においても随所に様々な文様が配されている。またそれらの装飾には、コンクリート、木材、アルミキャストの柱など多様な素材が用いられた。
大江宏の遺作となった三渓記念館は、三溪園の庭園の景観と馴染みながら、意匠性にも富んだ現代の和風建築として評価できる。

受賞歴等/神奈川県建築コンクール最優秀賞