奈良県009

ローレルコート・エスタ萩の台

  • 1990年竣工
  • 設計/アール・アイ・エー(RIA)
  • 施工/大日本土木・西松建設共同企業体(1・2・5・6号棟)、浅沼組(3号棟)
  • 構造形式/鉄筋コンクリート造5階建及び4階建、陸屋根
  • 用途/住居建築
  • 所在地/奈良県生駒市

ローレルコート・エスタ萩の台は、近鉄生駒線沿線で奈良市や大阪市への交通アクセスの良い奈良県西部の生駒市に位置し、高台の閑静な住宅街の南端にある南斜面に沿って平成2年、4年の二期に渡り建てられた分譲集合住宅である。RC壁式構造5階建(4棟162戸3LDK~4LDK、77.63~100.41㎡)と管理棟で構成されるが、外観は雛壇状になっており5階建ての高さを感じさせない。雛壇に設けられたバルコニー廻りは緑化され、地形に馴染ませるだけでなく、周囲の自然環境との調和も計られている。また、162住戸を地形に応じ分棟配置し、かつ各住戸を雁行設計しているため、採光や採風、独立性を確保し、かつ、良好な景観も造りだしている。住棟間には、グランド付きの児童公園やテーマ性を持ったプレイロットなどが織り込まれており、外構も含め緻密に計画されている。住戸内は、床暖房・シャワートイレ・浴室温水乾燥機、電話回線を利用したテレコントロールやナースコールなどを備え付けており、建設当時ではかなり高い水準と考えられる。オーディオルームや専用玄関を持つ別室付きタイプなど、付加価値の高い部屋タイプも用意されている。メンテナンスについては、概ね15年ごとに大規模修繕が行われており、計画的に管理されていることから建物や外構の状態も良好である。
敷地の特性を読み解き、緻密にプランニングされており、質の高いデザイン性を感じさせる。当時の好景気を背景に高まる生活水準や価値観の多様性を具現化しようとした、事業者や設計者の思想が顕著に表れた建造物といえる。また、傾斜地を利用した集合住宅として1983年から建設が始まった六甲の集合住宅(安藤忠雄氏設計)があり、こうした大都市圏の開発状況を示す歴史的価値もある。

受賞歴等/奈良県景観調和デザイン賞