1.出 席 者
(委員)
田村部会長代理,青柳委員,小田委員,加藤委員,後藤委員,佐々木委員,里中委員,高萩委員,堤委員,坪能委員,富山委員,西村委員,浜野委員,増田委員,山内委員,吉本委員
(事務局)
坂田事務次官,玉井文化庁長官,合田文化庁次長,清木文化部長,関文化財部長,松村文化財鑑査官,大木政策課長,滝波企画調整官,他
2.議事内容
【田村部会長代理】
ただいまより文化審議会第6回文化政策部会を開催いたします。本日は,ご多忙のところをご出席いただきましてありがとうございます。
本日,宮田部会長がご欠席ですので私が部会長代理として議事の代行をさせていただきます。よろしくお願いいたします。なお,宮田部会長の他酒井委員,鈴木委員,山脇委員がご欠席,
浜野委員,それから山内委員がまだお見えでございませんが,遅れてお見えになる予定でございますので,よろしくお願いいたします。
次に,本日は前回12日の部会に続き平田内閣官房参与にお見えいただいております。きょうは最後までいてくださるということで,ご多用中のところよろしくお願いします。少し頭でご挨拶いただけますでしょうか。
【平田内閣官房参与】
一つだけご報告をさせていただきますと,明日鳩山総理がアジアフォーラムのスピーチで東アジアにおける文化政策について相当具体的な提言をなさるとうかがっております。すぐに官邸のホームページにもアップされると思いますので,ぜひご覧いただければと思います。つい数日前も総理,仙石大臣,古川担当副大臣ともお会いし文化政策については,特に東アジア共同体の目玉として他の分野に先駆けて進めたいというご意向でしたので,ぜひその辺りのこともご議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【田村部会長代理】
それでは,前回第5回,5月12日の部会では各ワーキンググループの意見のまとめについて,それぞれ座長または座長代理をお務めいただいた委員よりご報告いただき,若干の意見交換が行われました。本日は3月までの部会における総論部分の審議及び各ワーキンググループの意見のまとめを踏まえまして,事務局に準備いただいた資料をもとに本部会から総会への「審議経過報告」骨子(案)について審議をしたいと思います。それでは,まず事務局より配付資料の説明をお願いいたします。
【滝波企画調整官】
それでは,まず資料1をご覧下さい。資料の1はこれまでの経過,それから今後の予定を記載したものでございます。本日の部会は第6回の5月19日の部会ということで,「審議経過報告」骨子(案)についての審議をお願いしているものです。
それから資料2でございますが,こちらには今部会長代理からもお話がございましたとおり,前回各ワーキンググループで意見のまとめについてご報告を賜りました。そのワーキンググループの意見のまとめをこの「審議経過報告」骨子(案)という形で事務局で整理をしたものでございます。
簡単に説明しますと,これは「はじめに」というものをまず書きまして,その上で第1として「文化芸術振興の基本理念」を記載してございます。こちらについて先ほど部会長代理からもお話ありましたように2月,3月にこの部会におきまして文化芸術振興の総論部分のご審議をお願いしましたが,その折にご意見をいただいた部分について集約して記載をしたものでございます。
それから第2の「文化芸術振興のための重点施策」でございますが,これにつきましてはここに記載のように1番と2番に大きく2つに分けて記載をしてございます。まず,1番の重点施策の方向性(重点戦略)という部分につきましては,5つの各ワーキンググループの中でご意見をいただいて意見のまとめも出していただいたわけですが,その中で各ワーキングに共通的に,横断的に関わってくるであろう事柄をここに記載の5つの項目に分類しまして,それぞれ重要なポイントをまとめていったものでございます。
1つ目に「文化芸術の価値を高め,我が国の成長を促す」ということ。2つ目に「文化芸術を支える人材を育てる」ということ。3つ目に「世代を超えて文化芸術を継承する」ということ。3つ目に「世代を超えて文化芸術を継承する」ということ。4つ目に「文化発信や国際交流を推進する」。そして最後5つ目に「文化芸術支援の在り方を抜本的に見直すとともに,社会を挙げて文化芸術への投資を拡充する」という5つの事柄に整理をしてございます。
第2の2番は「各分野における重点施策(具体的施策)」ということで,これは各ワーキングの意見のまとめのいわばエッセンスといいますか,重要なポイントを抜き書きしたものということで,(1)から(5)まで各ワーキングの柱立てに沿って記載をしてございます。なお,1番と2番の「重点施策の方向性」,それから「各分野における重点施策」という部分につきましては一部内容的に重複する部分もありますが,これはそういったことも度外視をして両方記載した内容でございます。
それから最後に「今後の検討課題」ということで,まだこの部会におきまして十分議論が尽くされていない事柄について,この部分で記載をしてはどうかとを考えてございます。
それから参考資料として「各ワーキンググループにおける意見のまとめ」が参考資料4で配付をしてございますが,この政策部会の最終的な報告をまとめるにあたりましてはこのワーキンググループにおける意見のまとめが別添の形で参考資料とし付ける体裁になろうかと存じます。冒頭,私からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
【田村部会長代理】
ありがとうございます。それでは,意見交換を行いたいと思いますが,なるべく効率的に進めるために,まず項目ごとに時間を今回は区切って議論をした上で,最後に全体を通してご議論をいただきたいと思います。と申しますのは,本日と5月24日,それから6月2日が政策部会の予定になっておりますが,その3回でなるべく中間まとめができるようにしていただければということでございます。
前回の部会における宮田部会長のご指摘を受けまして,お手元の議事次第にも時間配分の目安を示しておりますが,まず,全体構成について5分,次に「はじめに」と第1の「文化芸術振興の基本理念」について20分,それから次に第2の「重点施策の方向性(重点戦略)」について35分ぐらい,次に第2の「各分野における重点施策(具体的施策)」について30分,それから最後に「今後の検討課題」を含めまして全体を通してご意見があれば15分程度で進めてまいりたいと考えております。
それでは,まず全体構成について。事務局の説明にもございましたとおり前回の部会におけるご意見も踏まえまして第2の1において分野横断的な重点事項を頭出しする形となっております。本日,本部会において「審議経過報告」骨子(案)について初めて審議するものでございますので,まず事務局から目次の朗読からお願いしたいと思います。
【滝波企画調整官】
それでは,朗読をさせていただきます。今少しご説明を申しましたが,改めて朗読をさせていただきます。
- 文化政策部会「審議経過報告」骨子(案)
- 目次
- はじめに
1.文化芸術振興の国民にとっての意義
- 1.文化芸術振興の国民にとっての意義
- 2.国の公共政策としての文化芸術振興
第2 文化芸術振興のための重点施策
- 1.重視策の方向性(重点戦略)
- (1)文化芸術の価値を高め,我が国の成長を促す
- (2)文化芸術を支える人材を育てる
- (3)世代を超えて文化芸術を継承する
- (4)文化発信や国際交流を推進する
- (5)文化芸術支援の在り方を抜本的に見直すとともに,社会を挙げて文化芸術への投資を拡充する
- 2.各分野における重点施策(具体的施策)
- (1)舞台芸術分野
- (2)メディア芸術・映画分野
- (3)美術分野
- (4)くらしの文化分野
- (5)文化財分野
- 今後の検討課題
- 参考:各ワーキンググループにおける意見のまとめ
以上でございます。
【田村部会長代理】
それでは,この全体構成について,前回のご意見も踏まえてこのようにしていただいてございますが,ご意見とかご質問などがございましたらお願いしたいと思います。
【高萩委員】
前回も言ったのですが,やはり来年度の予算編成を見据えた中間報告であれば第2の重点的施策のところが,はっきり何を急いで動き始めたいのか入れた方が良いと思います。今のままでも最終報告の形は何となくわかるのですが,はっきりしていない。中間報告としては何かはっきり打ち出す組み立てのほうがいいと思うのです。いかがでしょうか。
【大木政策課長】
構成といたしましては最終報告をにらんでということで,まだ積み残している部分もございます。例えば一つ申し上げますと,第2次の方針につきましてきちっとしたレビューをというご指摘があったわけですが,急いでこれまで駆け足でやってきた中でそれが実行できているかというと,これは事務局の提案等も問題があったわけです。
今回の構成ですが,もちろん大臣諮問の際に冒頭申し上げましたように,ある程度この時期に出すということは全体的に概算要求をかなり念頭においています。そういう意味ではたくさんある中でここに挙げられているかなりの部分が,これはまだ8月末までに作業を要しますのでそういうタイムスケジュールの中で我々としても検討が必要だろうと思っております。かなりの部分は概算要求にのせていく,あるいはその他の制度の検討に着手するという思いがありながら,先生方からいただいたワーキンググループの意見で,詳細にわたる部分は後ろに参考資料としてまず付けさせていただきますので,これを最終答申にどういう形で盛り込むかはまた別の議論でございます。それはかなり詳細なものになると思っておりますが,我々として何とか早めに概算要求なり,制度の検討の着手なりにつなげたいというものに抜き出したつもりでございます。
ちなみに重点戦略のところは目玉が明らかになりますように,各ワーキンググループでいろんなテーマの議論をされた上で出されたものを横断的に見て,これは打ち出せるものを整理をしているつもりでございます。それに対しまして2番の「各分野における重点施策(具体的施策)」につきましては,各ワーキンググループの報告書の中から具体性があって比較的着手がしやすいものという観点で抜き出し,重点施策として考えることをご審議いただくつもりで作ったものでございます。
【田村部会長代理】
いかがでございましょうか。
【高萩委員】
つくったつもりはわかったのですが,変えることはできないのですか?この形で中間報告は出すと決まったのですか?
【大木政策課長】
それはこの場での議論によることだと思います。
【高萩委員】
つまり2番目の重点的施策のところですが,「文化芸術の価値を高め,我が国の成長を促す」の(1)番と,(3)番の「世代を超えて文化芸術を継承する」というのは,内容をや意味は共通するのですが,施策にはなりにくいと思います。もっと具体的に重点施策を打ち出したほうがいいと思うのです。ですのえ,重点施策についてわかりやすく,幾つか具体的な例示を出しながら論議ができればいいと思うのですが,いかがでしょうか。
【田村部会長代理】
この組み立てだとわかりにくいということです。もう少しわかりやすく組み立てをすることはいかがなものでしょうか。高萩さんのご意見を一応うかがっておきまして,それは多分,前回吉本委員が発言したところでもありますね。
【吉本委員】
高萩委員がおっしゃっていることは,私は第2の1のところで具体的に発言をさせて頂きたいと思います。
【田村部会長代理】
それでは,「はじめに」と第1の「文化芸術振興の基本理念」についてのほうにまいりたいと思います。同様に事務局から朗読をいただいた上でご審議をしていただきたいと思います。
【滝波企画調整官】
それでは,また引き続き朗読をさせていただきます。ページでいいますと1ページからになります。 では,朗読いたします。
はじめに
○平成19年2月に「第2次基本方針」が策定され,これまで3年余が経過している。この間の文化芸術を取り巻く諸情勢の変化等を踏まえ,平成22年2月10日に文部科学大臣から文化審議会に対し,「文化芸術の振興のための基本的施策の在り方について」諮問が行われた。
○本報告は,同諮問を受け,文化政策部会における8回にわたる調査審議及び文化芸術の分野ごとのワーキンググループにおける調査検討を経て,今後の文化芸術振興のための基本的な施策の在り方について,これまでの審議経過を取りまとめたものである。
○本部会としては,本報告に対し今後意見募集を実施し,広く国民や文化芸術団体等から頂いた意見を踏まえ,さらに審議を深め,文部科学大臣に答申を行いたいと考える。
○政府においては,本報告を踏まえ,今後の文化芸術振興のための施策の展開に当たることを期待する。
第1 文化芸術振興の基本理念
1.文化芸術振興の国民にとっての意義
○文化芸術は,過去から未来へと受け継がれ,人々に大きな喜びや感動,心の豊かさや安らぎをもたらすものである。我々は,まず,このこと自体に大きな価値を認めなければならない。
○また,文化芸術は,国境を越えて様々な価値観を共有する基盤となり得るものである。とりわけグローバル化が進展する今日にあって,自国の文化芸術を胸を張って他国に誇り得ることは,日本人一人ひとりにとって何物にも代え難い心の拠所と言えるものである。
○さらに,あらゆる領域で創造性が重視される今日の国際社会にあって,文化芸術活動は,持続的な経済発展や国際協力の円滑化など,社会の多くの営みの基盤となり得るものであることもまた,重要なポイントである。
○こうした諸点を踏まえれば,国が自らの責任において自国の文化芸術を振興しなければならないことは論を待たない。このことは,他国政府による積極的な国内外への文化発信政策を見るにつけても,明らかである。経済面での国際競争の陰に隠れ,我が国が文化発信面で国際社会に遅れを取るようなことがあっては決してならない。
2.国の公共政策としての文化芸術振興
○国が自ら公共政策として文化芸術振興を図ることの必要性は,1.で述べたとおりであるが,要約すれば,[1]文化芸術そのものの価値の保持,[2]日本人としてのアイデンティティの確保,[3]経済活動等の基盤確保の3点から,国際社会に遅れを取らぬよう,国自らの責任において文化芸術を振興していかなければならない,というものである。
このことに関連して,以下のような意見があった。
- ・文化芸術は,国民共有の財産であることから,世代を超えて継承していくための施策を長期的観点から講ずる必要がある。
- ・人類は,自らの文化を継続するとともに,時に刷新しながら,今日の繁栄を享受してきた。
国としての文化の持つ「継続性」と「刷新性」を見通しながら,その振興を図ることが重要である。グローバル化の進展の中で,文化の多様性を確保しつつ,国民の文化的アイデンティティを維持することが必要である。国にはそのために必要な基盤整備が求められる。このことが,国の存立の根幹であると言っても過言ではない。 - ・文化芸術はいわば「上限のない輸出」が望める分野である。資源の少ない我が国では,国が明確な政策的意図を持って戦略的に文化発信していくことが必要である。
- ・経済学的特質として,文化芸術産業は,他産業に比しての向上が極めて困難である(ボウモル=ボウエン理論)。文化芸術は,国家への威信付与,周辺ビジネスへの波及効果,将来世代への遺贈価値,コミュニティへの教育価値といった社会的便益(外部性)を有する「公共財」なのであって,公的支援による資源配分が不可欠である。当然に主要国でもそうした認識で文化政策を展開している(フランス,韓国等の例)。
- ・流通促進・市場拡大に注力してきた従来型「コンテンツ産業政策」から創造性自体に大きな価値を置き,質の高い創造活動を奨励・振興する「創造産業政策」へと政策転換する必要がある。そのためには従来と全く異なる視点と国の関与が不可欠である。
○我が国では,戦後の高度経済成長の後,二度にわたる石油危機の経験を経て,環境の質,生活の質,心の豊かさが求められるようになった。その結果,今から30年前に,これからの時代を「文化の時代」と捉え,教育,文化などを含むすべての人間の営みを包摂する「田園都市構想」が提唱され,失われかけた人間性を回復し,積極的に自己実現を図ろうとする機運が高まった。
我々はいま一度,こうした歴史を振り返り,文化芸術の振興を国の政策の根幹に据えて,これまでの政策を抜本的に見直し,文化芸術の振興策の強化・拡充を図るべきである。
以上でございます。
【田村部会長代理】
それでは,今の「はじめに」と「第1」について,ここは審議経過報告のいわば総論部分でございますが,ご意見をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
【加藤委員】
大変よく書かれていると思うのですが,幾つか細かい点なのですが,まず,第1の1の例示が一番下に書いてあるのですが,この例示はないほうがいいかと。こうした例示をすると何か限定的過ぎて余り広がりが感じられないので,せっかく高らかと謳いあげているにしてはやや貧弱に見えるので,幅広く理解していただいたほうがいいのかなと。
それから2のまとめの[1],[2],[3]のうちの[3]の部分に「経済活動等の基盤確保」とあって,それはそのとおりで「等」といっているのですが,その前の「国際社会における文化芸術の重要性」というところを,この一語で要約していいかと。つまり経済力や外交力,文化力と考えると,それら3つが並んで相互に価値を高め合うような関係にあると考えると,もっと前に強く外交政策上の重要性も含めて表現された上で,この[3]に「等」で片づけないで,あと二言ぐらい,何か補われてはいかがかと思いました。
そのことに関連して「以下のような意見があった」という中に,意見を羅列しておいてもいいという考えもあるかもしれませんが,少し矛盾した表現があるんです。一方では,「文化芸術は上限のない輸出」といっていて,一方では経済的特質として,これは「公共財」であり,「生産性が望めない」といっています。このことは矛盾しないようにも,矛盾するようにも理解できます。恐らく文化の二側面をここでは言っていると思うのですが,「経済的な側面から見ても非常に可能性を秘めていつつも,一方の観点からみると「公共財」としての支援が必要だ」と,こういうことだと思うのですが,ここは双方をうまく,両方ポジティブに表現できるような表現形態に変えたらどうかと思いました。
それともう一つ,「国の公共政策としての文化芸術振興」という以上,何人かの委員からご意見があった国の総合的推進機関の設置ということについて,「検討」と書いておいてもいいのではないかと感じられました。以上です。
【田村部会長代理】
最初に入れたほうがいいということですか。
【加藤委員】
一番最後でいいと思うのですが,今言った2の「国の公共政策としての文化芸術振興」の一番最後,「国の」といっている以上は「国の総合的推進機関を検討する必要がある」ぐらいのことは入れてもいいのではないかと。
【田村部会長代理】
ありがとうございました。他にご意見は,吉本委員。
【吉本委員】
私もちょっと細かい点になるのですが,第1の中の文章などでもう少し強く言えないかなという箇所が,表現の問題としてあります。例えば2つ目の○の「文化芸術は,国境を越えて様々な価値観を共有する基盤となり得るものである」ですが,これは例えば「基盤である」と言い切るとか,あるいはその次の2行目に「胸を張って他国に誇り得ることは」とありますが,何か非常に説明的になっていることで主張が弱まっている箇所があると思います。それと,3つ目の○だと「さらに」から,2行目の最後に「社会の多くの営みの基盤となっている」と言ってしまったほうが,「基盤となり得るものであることもまた,重要なポイントである」というよりはメッセージが伝わると思うので,そういう表現上の工夫がかなり必要で,もう少し練る余地があると思います。
さらに具体的にいいますと,2ページに「こうした諸点を踏まえれば」とあるのですが,例えばこれも「すなわち,国が自らの責任において自国の文化芸術を振興しなければならない」と,ストレートに短くする工夫がもっと必要ではないかと思います。例えば2の最初の○のところも1行目から「要約すれば」までのところを取ってしまって,「要約すればこの3つである」とするなどの工夫が必要かと思います。
またその下に意見が例示として挙がっていますが,特に最初のところなのでまとめとしてこういう出し方がいいと思います。
だからこの内容を盛り込むのであれば整理した上で文章に直して,先ほど加藤委員から指摘があったような矛盾が含まれないようにした方がいいと思います。
それと2ページの一番下のところですが,これは大平総理の時代のことを言及されていると思うのですが,これはあえて言及する必要はないかなと。
先ほど高萩委員がおっしゃった意見と関連して,私は第2の最初のほうも含めてコンパクトにしてはどうかと思います。今は2の「国の公共政策としての文化芸術振興」で終わっているのですが,それを「~文化芸術振興の意義と基本的な考え方」みたいに,すごくコンパクトにしてしまって,具体的な政策をより明確に打ち出したほうがいいのではないかと思います。もちろん3次方針になるとこの最初のところをきっちり書き込んでいく必要があると思うのですが,中間まとめで来年度の予算を念頭に入れるのであればその最初のところはもう言い切って,もう文化振興をするのは当たり前だという姿勢で書いたほうがいいかと思いました。
【田村部会長代理】
ありがとうございました。もう少しわかりやすくということもありますね。他にご意見はございますか。
【後藤委員】
加藤委員や吉本委員のおっしゃることも分かるのですが,私は1ページのところも例示がしてあることで,この例示の幅が広くなっていていいような気がします。といいますのも,コンテンツ促進法ができるときも,コンテンツを促進してどういう効果があるんですかということが相当議論をされたようで,ポケモンの例とかを挙げて具体的にポケモンが何から始まって,それがどんなメディアで利用され,どれぐらいの収益を上げたのかまで,具体的に議論をしたという経過も仄聞しておりますので,やはりわかっている方はわかっているのですが,わからない方もいらっしゃるということを考えるとあってもいいかなと。ただし,これだけだとちょっと狭い感じもするのでもう少し多面的に記述があるといいのかなというふうには思います。
それから2ページのところなんですが,ここで要約すればと挙げてある(1)番が,加藤委員の意見は外交とか文化とか経済とかが相まって非常に効果を発揮すると言ったらどうかとのご意見だったと思うのですが,この[1]は文化芸術そのものの価値とおっしゃっているので,これが文化的価値,つまり文化そのものであり,2番目はアイデンティティが即外交につながるかは分かりませんが,やはりアイデンティティがあって初めてソフトパワーや外交につながるのだと思うので,2番のところで関係するのかなと。そして3番は経済とおっしゃっていると思います。
今まで財務省等は,文化芸術振興は支出としか考えていないというか,投資という観点からは考えたことがないと思いますので,思い切ってこういうふうな,単に消費しているのではなくて投資になるんだと強調することは,私は意味があると思うのですがいかがでしょうか。
【田村部会長代理】
ありがとうございました。
【平田内閣官房参与】
すみません。内容ではなく,書き方について今後藤委員がおっしゃられたことはとても重要なことで,皆さんご承知だと思います。特に行政官の方は頭ではご理解いただいていると思うのですが,予算の立て方が抜本的に変わったわけです。今年度予算はまだ慌てて作った予算ですが,来年度予算に関してこの8月,9月から行われる予算の組み方は,これまでの政権とは全く違う組み方になって,要するに財務省の主計局を説得するだけではなく,国家戦略局と行政刷新会議が二本柱になっております。国家戦略局はどちらかというと増やす方で,そして行政刷新会議はむだを省くという。その2つを説得する必要があります。
今,私はいろんなところから挙がってきた成長戦略と,各府省から挙がってきたものを見せていただいていますが,要するに今までと違って説得というか感動させないとだめなんです。ですから,まずこういった箇条書きではなくて全文はきちんとした文章で,できれば委員の方に書いていただきたいと思います。これではだめだと思います,はっきりと。こういったいわゆる言うところの役人言葉,霞ヶ関のボキャブラリーではだめなので,ぜひ説得力を持った文章を委員の方に書いていただきたい。そうでないと予算は増えないと思いますので,ぜひその点ご検討をいただきたいと思います。書いてある内容はほぼこれで結構だと思いますし,そして今各委員がおっしゃられた意見を盛り込んでいけば,よりいいものになると思いますが,書き方は抜本的に変えていただかないと,これでは全く変わった感じがしないので,要するに行政官同士で話しているのだったらこれでいいのでしょうが,そうではないということをぜひご理解いただきたいと思います。
【田村部会長代理】
ありがとうございました。
【小田委員】
私も小さな自治体でございますが,「はじめに」という最初の目次の議論もあったのですが,国の審議会のまとめ,報告はそれなりに整理されていると思うのですが,タイトルが,サブタイトルをより強調しながら展開していってはどうかと。我々は一地方ですから,小さな町ですからそれを発信をしていくと,こういうことになった場合は通常の文書形態ではやっぱりどうしても弱いということですから,どうしてもタイトルを出していくということになります。
当審議会の今までの答申の歴史や積み重ねがあろうかと思いますが,初めに申し上げましたように,やはり文化芸術立国を目指すと,これを明確にした中で当然一連の流れの中で意義を強調すべき,と提案致します。
【田村部会長代理】
ありがとうございました。芸術分野については,多くの方に説明責任というか,提案がうまく行われてこなかったという部分が大きいかと思いますので,ぜひその辺を皆様のご意見を取り入れてはっきりと書いていただけたらと存じます。
それでは,次に第2の「文化芸術振興のための重点施策」の1.重点施策の方向性(重点戦略)について,同様に事務局から朗読いただいた上でご審議いただきたいと思います。
・第2 文化芸術振興のための重点施策
1.重点施策の方向性(重点戦略)
【滝波企画調整官】
それでは,朗読を続けさせていただきます。
第2 文化芸術振興のための重点施策
○文化芸術の振興に当たって,当面,重点的に取り組むべき施策の方向性(重点戦略)及び各分野における重点施策(具体的施策)については,以下のとおりとする。
1.重点施策の方向性(重点戦略)
(1)文化芸術の価値を高め,我が国の成長を促す
○文化芸術を広く振興し,頂点の伸長と裾野の拡大を併せて進めることにより,我が国の文化芸術そのものの価値を高め,国民一人ひとりが自国の文化芸術に誇りを持ち得る状況を実現することが,まずもって重要である。
○また,文化芸術の振興は,教育,福祉,観光,創造産業等,幅広い分野に関わりを持つものである。文化芸術をより一層積極的に活用し,地域コミュニティの再生,雇用の創出を含めた地域振興や都市の活性化,ひいては我が国の成長につなげる発想が重要である。
○これらの観点から,文化芸術の振興を強力に推進することにより,国家戦略として新たな「文化芸術立国」の実現を目指す。
○なお,今後の文化芸術の振興を図るに当たっては,従来主として対象としてきた文化芸術の領域のみならず,衣食住など広く我々の生活に関わる領域をも対象として振興策を講ずべきである。
(2)文化芸術を支える人材を育てる
○文化芸術の各分野を通じて,人材を育てる視点を重視する。
具体的には,各分野の状況や特性を踏まえ,創造活動を担う専門性の高い人材を育てるとともに,子どもたちに質の高い文化芸術に触れる機会を確保すること等が重要である。
○創造活動の直接の担い手としては,若手の芸術家等に対する支援が基本的に重要であり,必要な研修制度の充実や活躍の場の増加を図ることが必要である。また,創造活動を支援する観点から,文化芸術活動や施設の運営を支える専門的人材等の育成が同様に求められる。
○子どもたちの豊かな感性,創造性,意欲をはぐくむために,できるだけ幼い頃から,本物の文化芸術に触れ,体験する機会を拡充することに加え,学校教育において文化芸術を通じたコミュニケーション教育等を推進する。
(3)世代を超えて文化芸術を継承する。
○文化芸術は,先人の様々な営為により生み出されたものであるが,その継承の中でさらに新たな文化芸術が創造されるものである。また,我が国には,各地域に多様で豊かな文化が存在し,その厚みが日本文化全体の豊かさの基盤を成している。これらの文化芸術を将来にわたって持続的に継承することが重要である。
○文化財を将来に持続的に継承するため,適切な保存の取組及び公開・活用の一層の推進を図るとともに,無形の文化財や文化財を支える技術・技能の伝承者の確保に向けた取組の充実を図る。
○メディア芸術,映画,美術,衣食住など文化芸術の各分野における貴重な作品・資料等は,次代の文化芸術創造の基盤として重要である。このため,計画的・体系的な収集・保存を行うことができるようアーカイブの構築に取り組むとともに,その積極的な活用策を検討する必要がある。
(4)文化発信や国際交流を推進する
○日本の文化芸術を積極的に海外発信する。
特に,我が国の強みであるメディア芸術,創造産業の成果を強力に海外発信し,我が国の諸外国における文化的存在感を高めるとともに,東アジアをはじめとした世界各国との国際文化交流を積極的に推進する。
○我が国の伝統文化や現代の創造的な文化を外国語により情報発信するなど,外国人の文化芸術へのアクセスや理解を容易にする。
○アジア諸国との連携も視野に入れつつ,世界的なアート・フェスティバル等,質の高い国際的な大規模展覧会の国内開催や,我が国の美術作品等の海外出展について,関係機関との連携のもと戦略的な支援を行う。
○文化財の保存修復に係る高度な知識,技術,経験等を生かした国際協力や現地での人材育成など文化財を通じた戦略的な国際協力・交流を推進する。
(5)文化芸術支援の在り方を抜本的に見直すとともに,社会を挙げて文化芸術への投資を拡充する。
○文化芸術活動に対する国の支援に当たって,専門家が審査・評価を行う新たな仕組みの導入を検討するとともに,分野の特性に応じた新たな支援制度を導入するなど,長期的な視野に立って,支援制度を抜本的に見直す。
○地域の核となる文化芸術拠点への支援を拡充するとともに,その法的基盤の整備については早急に具体的な検討を行う。
○NPO法人を含め「新しい公共」による文化芸術活動を支援する仕組みを構築する。特に,多様な主体が「新しい公共」に参画できるようにするため,文化に関する寄附税制の拡充を進めることが重要である。
○文化芸術は国民や地域住民のための公共財であり,文化芸術の振興を国の政策の根幹に据えて,これまでの政策を抜本的に見直し,文化芸術の振興策の強化・拡充を図る。特に,我が国の文化予算が諸外国と比較し圧倒的に少ない現状を踏まえ,我が国が世界の文化芸術の発展に本来貢献すべき役割を十分に果たし得るよう,国として文化予算を大幅に充実する。さらには,国,地方,民間,個人など社会を挙げて文化芸術への投資を拡充する。
以上でございます。
【田村部会長代理】
ありがとうございました。それでは,分野横断的な重点事項に当たります第2の1.重点施策の方向性について,ご意見をいただきたいと思います。
【西村委員】
2つあります。1つは,今それぞれの国,それぞれの地方が競争していると思います。それは魅力的な国や地域,都市をつくることでいろんな産業や優秀な人材,観光客も含めてそういう人たちの取り合いの時代になってきているのだと思うんです。その意味,文化芸術はそれぞれ魅力的な国をつくることが大きな目的なのではないかと,そこからいろんなものが派生するのではないかと思うんです。
ですから,私は何かそこのところがひとつ大きく最初のほうの柱にあるべきではないか,それが結果的に成長を促すことになるのではないかと。それは国だけではないと思うので,都市や地域それぞれがやはり競争している社会なので,そのことをぜひどこかで強く言ってもらいたいなと思います。
もう一点は,これは最初のころフリーディスカッションでも多くの人が文化省をつくって文化省にすべきだという話があったと思うのです。それはいろんな立場や思いがこもっていたと思うのですが,やはり文化芸術に関して代表できるような大臣がいて,そこで予算をきちんと取って,そして文化行政を志した人たちが入ってくるような人事制度があって,文化芸術が独立した一つの活動としてずっと永続していくことが,やはり重要であると思います。そういう組織的な体制をつくっていくことは,かなり大きなことなのでそれに関わる話をどこかに入れるとバランスがとれるのではないかと思います。
以上です。
【田村部会長代理】
ありがとうございました。文化省という話は多くの方から出ておりました。坪能委員どうぞ。
【坪能委員】
とてもよくまとめていただいたのですが,細かいことは今後煮詰めるとしましても根幹を押さえておく必要があると思います。その中でこれまで話題になった幾つかのキーワードが少し埋没していると思います。「新しい公共」というキーワードです。それから「国の文化力」ということ。
「新しい公共」とは拠点を意味しているのか,団体を意味しているのか,それから皆さんの持っている文化の財産というものを活用するシステムを意味しているのか,まだちょっと不明だと思います。この文化的な財産の活用が「新しい公共」によって生まれていくとすると,それは人の知恵であり情報なので,その情報の公開と交流が必要ではないかということも前に私申し上げたと思います。
そのうちの一つとしてアーツカウンシル等の存在も必要なのではないかと,ですからそういう文化事業関係の人材,育成,それからノウハウと審査を含む評価の問題も含めまして,そういうシステムも必要なのではないかと思っているのです。それによって「新しい公共」というのが国の文化力を生み,育て,それが国際交流,また国際に発信すると,発信した結果,また新たな次の公共を生むというように循環させながら市民文化の育成が成熟していくというような図が明確に見えたほうがいいのではないかと,こう思います。ちょっとそこのところが話題として出てくるのですが,しっかりと検討するとか,見直す必要があるという程度で終わってしまっているので,明確に打ち出したほうがよろしいのではないかというのが私の意見です。
以上です。
【田村部会長代理】
ありがとうございました。他にご意見はございますでしょうか。
加藤委員どうぞ。
【加藤委員】
まず,文化省のような機関について必要だということを冒頭で,それは国の総合的な推進機関の必要性みたいなことを書いてはどうかと言っているのは,文化省と書いてよければ,ぜひ文化省とお書きいただければいいと思うのですが,その事柄を先ほど申し上げた点で,それから前文に比較して重点施策とせっかく言っているにもかかわらず,具体的に何が施策なのかが一向によく見えてこないのがここの課題かなと。
特に(1)こそ,これはこれまでのところに入れ込んで,ぜひ表現されるべき事柄ではなかろうかなと,むしろここでは施策を具体的にでは,こうした理念を実現していくためにかねてから主張していることの一つでいえば,既存の文化施設に対する振興策というものは大分検討をしてきたが,我々が打ち出した例,横浜のバンカートのような事例でいうと,もともと文化施設でも何でもなかったものを新たに地域の創造的拠点として開発をしていくような事柄についての支援策というか,それを推進していく制度づくり,法的な制度も含めて制度づくりをもう一度きちんと構築する必要があるのではないかという,その当たりが具体策として,ぜひ必要な点だろうと思うのですが,その辺が十分生かされていないかなと。
それから(4)の中にアジア諸国との連携も視野に入れつつ,国際的なアート・フェスティバルや国際的な大規模展覧会というふうに書いていただいているのは,これも例示の仕方が問題なのですが,例えば質の高い国際的な大規模展覧会というと,ルーブル展をやればいいわけというふうに理解されやすいので,この当たりはせっかくこれまでのいろんな議論の中では具体的に例えば横浜トリンナーレのようなということを言ってきていたわけなので,むしろそうした新しい形の国際競争力に耐え得るような美術に限らないです,幅広い文化芸術のフェスティバル等というふうにあるべきところで,もうこの辺が何か全体に用語が(1)の一番最初の部分の「文化芸術を広く振興し,頂点の伸長と裾野の拡大を併せて進めることにより」といういかにももっともらしく聞こえるのですが,今まで文化庁がずっとこの頂点の伸長と裾野の拡大という言い方で文化を推進してこられたことに時代に即応しない面があるのではないかというふうに考えると,こうした表現も含めてもっと具体策を打ち出していく,それが重点施策なのではないでしょうか。
劇場法も言葉はどこにも一言も出てきておらず,何か法的整備と書いてあるのですが,それをそういうふうに読んでなるべく劇場法という用語を使わないほうが戦略的にいいという配慮があるなら別ですが,そうでないのならせっかくいろいろと議論をされている事柄について,きちんと記載をされるべきだし,アーツカウンシルについては先ほどご指摘のあったとおりで,私もその点は少なくとも重点施策に入れてすぐできるかどうか難しい面があるかもしれませんが,今から取り組んでいくべき課題ではないかなというふうに思いました。
【田村部会長代理】
ありがとうございました。
【富山委員】
5ページ目の最初のところでございますが, 国として文化予算を大幅に充実するという甚だ抽象的な言葉で書いてありますが,例えばこれを文化先進国フランスと同等とか,それ以上とかもうそのぐらい書いてしまったほうが返って,どうせそれでもある意味でいえば今の経済状況からいえば値切られるでしょうから,そのぐらいぶち上げちゃったらどうかと,そのほうがかえってインパクトが強いのではないかなと思います。
【吉本委員】
先ほどの加藤さんのご意見と重なる部分があるのですが,この重点施策の方向性は5つあるのですが,このうちの(1)というのは施策ではなくて,これは目標ではないかと思うんですよ,「文化芸術立国の実現を目指す」というふうになっていますので,だからこれはこの場所よりはもっと前に書いたほうがいいかなということです。
あと,(2)から(5)までのところも読んでいくと全くこのとおりなんですが,やっぱりこの中で何が重点なのかというのが見えにくいと思いますので,先ほど申し上げた意見とも同じなんですが,具体的に何をやるのかということが見えるように書き方の工夫をしたほうがいいのではないかなと思います。
【田村部会長代理】
他にはございますでしょうか。
【浜野委員】
繰り返しですが,5ページ目の文化芸術の振興を国の政策の根幹に据えるのに文化庁であるのはちょっと不都合があると思います。根幹に据えているのに何で文化庁なのかという説明がつかないと思います,省にしなければ。これはやはり省であるということを打ち出したほうが絶対整合性があると思います。
以上です。
【田村部会長代理】
他にございますでしょうか。
【平田内閣官房参与】
また,繰り返しになりますが,それから予算のことばかり申し上げて申しわけないのですが,これももう釈迦に説法になりますが,次の予算に関しては選択と集中が行われているかどうか,競争と淘汰の原理が働くかどうか,そして階層化がきちんと行われているかどうか,それから工程表がきちんと示されているかどうかといったことが説得力を持つ材料になります。特に問題なのは工程表が全く示されていないことです。ですから文化省を何年後につくるのか,そのためにはどんな準備が必要なのか,アーツカウンシルはいつできるのか,10年後なのか5年後なのか,そのためには例えば来年度,概算要求としてはそれを調査費にするのか,分野に限ってアーツカウンシルをつくるのか,そういったところをやはりきちんと盛り込んでいただいたほうが,やはりいいのではないかと思います。
それからこの部分は横串なのだと思うのですが,例えば劇場法だけに限らず美術館にとっても拠点を定めて,やはりメリハリのある助成の仕方,支援の仕方をするということはどうしても入れていかざるを得ないと思うので,そういったジャンルを横断して大事なことをここに入れていただいて,個別のことを後のほうに入れていただくというために分けたのだと思うので,そこをもう少し強調していただいたほうがいいのではないかと思います。
【田村部会長代理】
皆様から,きちんとお話に出たようなことをはっきり書いた文章にしていただきたい,そのほうが参与のお話でもこれから一般社会に,皆様に理解をしていただくためにもそれが必要ではないかということだと思うのですが,他に何かご意見はございますでしょうか。
【青柳委員】
一つは,恐らくこの文化芸術振興のための重点施策の前か,あるいは一番その大きなものになっているのは今現在,文化政策というものがもうプロポーションとして軽視されていることをどれだけ大きくするかということが最大の問題だと思うんです。なぜそうなのかというと,やっぱり国がやることというのは教育,福祉,防衛,外交,そして文化なんです。その5本指なり6本指の一つが文化を充実させ振興させることで,それだけ重要なことであると,だからその部分をきちっと強調しながら,それでいて今は約1,000億ぐらいしか予算がないというようなこと。
それからもう一つは,我々戦後ずっと荒廃の中からきて経済成長というものがいけばどんどんそれぞれの生活も豊かになるし,文化も豊かになるし,そして国際社会の中でもある存在感,あるいは尊敬を勝ち得る国になるのではないかと思って一生懸命に経済をやってきたわけです。ところが,それで結局何ができたかというとボリュームだけ大きくなって,国際社会の中での存在感をどれだけ示せるか,決して大きくなっていない。だからイギリスがよくいう「我々の国はスモールカントリーだが,グレートカントリーだ」というような,そういう考えが文化というものを機軸にしながら我々はグレートとは言わなくていいと思うのですが,やっぱり存在感のある国にしたい,そのことがよくいわれる例えば政治の中でも言説の政治が非常に重要であるといわれているが,その言説の背景には文化があって初めて国際政治の上で言説が通じるのです。そういう意味でもこの施策の中で,何しろ文化というものが国全体の中の総合安全保障の中の文化安全保障といってもいいようなものとしての位置づけをしながら重点施策というものを整理し直すといいのではないかと思いますが。
【田村部会長代理】
ここにおそろいの皆様は文化の大切さというか意義というものをしっかり理解していらして,そのことは当然だと思っていらっしゃる方が多いのですが,それを地域の皆様であったり,国民の皆様に理解していただくことがとても難しいというのが現実であるような気がいたします。
NHKで追悼番組を放送しました時の経験ですが,武満徹さんが亡くなられたとき三大紙も含めて日本では小さな記事だったのです,でも外国ではアメリカでもイギリスでも新聞半面に扱われていたということです。そして没後10年武満さんを偲んできちんとした作品をつくったのはドイツです。ベルリンドイツオペラの芸術監督が演出して舞台作品をつくりました。ですからドイツは公的な支援をし,そしてフランスも公的な支援をして上演されたのですが,日本では全くそれがなかったというのが事実でして,なかなか10年たってもそうだったというのが私の実感でございます。芸術文化の大切さを説く努力を怠ってきたということはあるかなとは思います。皆様がおっしゃるようにはっきりわかりやすく主張するということが,大切なときではないかという気がいたしております。他にこの部分についてご意見はございますでしょうか。
【後藤委員】
3ページの(2)に「文化芸術を支える人材を育てる」というふうに書いてありまして,中身を読むと若手の芸術家などに対する支援というのがあるのですが,人材を育てて若手に支援することも大事なのですが,そういう方たちがずっとやっていけて,ずっと創造を続けていけるような支援というのもやっぱり必要で,若いうちだけ支援されたらあとは一人立ちしてやっていけるから支援はいらないといことではなくて,その辺がないと海外へどんどん出て行っちゃうということにもなると思いますので,もうちょっと中間のところにも支援が必要だということです。
それから文化芸術は前文のところでは,創造性が重視されるというふうなことも書いてあるので,支えるというよりは文化芸術を創造する人材を支援するとか,何か少し表現の仕方を変えたほうがいいのではないかと思いますが,いかがでしょうか。
【田村部会長代理】
ありがとうございました。この部分について他に何かご意見は,堤委員どうぞ。
【堤委員】
実は私,田村先生のお話を引き継いでちょっと述べさせていただきたいなと思っていたのですが,先ほど西村委員が「魅力ある」という言葉をお使いになって,これはすばらしいことだなと思ったんです。もちろん私これ全部読ませていただいて大変よくまとめておりますし,もうすべてごもっともだと思うのですが,先ほど田村先生が武満さんを認めたのはフランスであり,ドイツであるということをおっしゃいました。これはやはりどうして向こうの方のほうがそういうことを認めやすいのだろうか,日本のこの近くにいる我々のほうが認めにくいのだろうか,これはやっぱり大きな問題なのではないかなと思います。
一つは,やはり残念ですが欧米各国の方のほうが文化というものが,やはり自分の中に生きて存在している。ですから芸術も生きて存在している,例えば音楽がなければ生きていけない,絵画がなければ生きていけない,いい小説を読まなければ生きていけない,そういうものがやはり根づいているからこそ他のいいものもすごくよくわかる。私はだから文化庁が主になってこれからいろんなことをやっていくときに,日本人の一番優れているところはやはり精神性だと思うんです。私たちが持っているこれまで培ってきた伝統,歴史,それをすべてもっともっと生かすような,広い意味で生かすような施策の仕方というものがやはり一番大事かなと思います。
私一度,画家の東山魁夷先生にお会いしたことがありますが,先生は自分は絵を描くときはもう祈る気持ちで描いていると,祈りの気持ちだと,私はそれはすごく日本的だなと思いましたし,一つの仏教の哲学かもしれませんが,そういうものがやはりあれば逆に西洋の方から見て,ああ,日本人というのは非常に魅力のある人たちだなと思うし,そういう意味で私たちを含めましてある意味で指導的な立場にある方がいろんな形でそういうふうに生きた芸術なり文化なりを育てる,それを大事にする,プロテクトする,充実させていく。先ほど平田参与からお話がありましたように,もしそういうふうに政府に何か新しく力強くうったえるものがあるとしたら,そういうものなんだと,これからの日本はもっともっと生きた芸術なり文化なりをしていくのだ,そういうような提案をしたらもっともっと効果的だなと思いました。私見ですが,述べさせていただきました。
【田村部会長代理】
ありがとうございました。
【増田委員】
時間が限られている中でちょっと雑談的になるかもしれませんが,日本の経済界の社長が文学界ご出身あるいは美術出身,音楽出身とか哲学出身の社長は少ないと私は思いますが,欧米の特に文化を誇る国々の社長,経済界を握っている人たちの出自は文系の人が結構多いということも,すごくそういうことに関係していると私は個人的に思います。
この文章の中に日本の持っている経済の力,その経済が今こそ文化を要求している状況だと思うのですが,そういうところで4ページの一番最後のほうにちょこっと書いてありますが,「文化に関する寄附税制の拡充を進めることが重要である」というような小さい文章ではなくて,我が国の持っている経済の力がますます文化にとって必要であるし,経済のためにも文化が必要だというような,何かもう少し経済界と一緒にというか経済の力を利用するというか,何かそういう施策が具体的にあったらいいなという感想があります。
以上です。
【田村部会長代理】
ありがとうございました。それでは次の部分にいかせていただきたいと思います。何よりもはっきりとわかるようにというのが皆様のご意見だったと思います。
続いて,第2の2「各分野における重点施策(具体的施策)」にまいります。ここは前回の部分でご報告いただいた各ワーキンググループの意見のまとめが基になっておりますので,簡潔にご説明いただいた上で審議に移りたいと思います。よろしくお願いいたします。
・第2 文化芸術振興のための重点施策
2.各分野における重点施策(具体的施策)
【滝波企画調整官】
それでは2番のところは朗読ではなくて,ごく簡単に紹介する程度にとどめたいと思います。
まず,2番の(1)舞台芸術分野でございます。[1]が「地域の核となる文化芸術拠点の充実とそのための法的基盤の整備」でございます。少しなぞっていきますと,1つ目の【の後段のほうで,「地域の核となる文化芸術拠点の文化芸術活動への支援を拡充する」という記述がございます。また,2つ目のところは,「地域の文化芸術拠点の充実」ということと,「その法的基盤の整備についても早急に具体的な検討が必要」というふうに記述がございます。また,3つ目のところでは,後段のところで「国立の劇場も含めた文化芸術拠点の望ましい在り方についての検討が必要」という記述がございます。
[2]は「専門家による審査・評価の仕組みの導入の検討と支援制度の抜本的見直し」です。1つ目の【はいろいろ書いていますが,「分野ごとに事業の選定,評価を行う専門家(プログラムオフィサー)を配置し,専門的な審査をしっかり行う」ということ,それから「調査研究を強化する」ということ,それから「PDCAサイクルを確立する」ということ,こういったことをやることによって「新たな審査・評価の仕組み,日本版アーツカウンシル(仮称)の導入を検討する必要がある」というふうに記述がございます。
2つ目の【では,文化芸術団体にとってインセンティブが働くようにしていく必要があると,分野の特性に応じた支援が必要,それから年間の活動への総合的な支援あるいは民間からの寄附金と公的助成金を組み合わせるマッチンググラントのような支援,研究分野における競争的資金の間接経費の取扱いも参考にしたような支援などの新たな仕組みの導入を含めて,支援制度を抜本的に見直す必要があるというふうな記述でございます。
その次の【は,大学や 新国立劇場の研修所における人材育成ですとか人材育成事業の支援の在り方の検討が必要,それから新進芸術家の国内研修の仕組みの導入ということの記述もございます。
[3]は「子どもたちが優れた舞台芸術に触れる機会の拡充」ということです。1つ目のところでは,子どもたちが優れた舞台芸術に触れる機会を拡充するというような事柄,2つ目の【ではコミュニケーション教育などの普及活動のことの記述がございます。
[4]につきましては国際共同制作への支援ですとか東アジアをはじめとした世界各国との国際文化交流の推進といったことの記載がございます。
(2)は「メディア芸術・映画分野」でございます。
[1]は,メディア芸術祭の拡充と関連イベントとの連携ということです。
1つ目の【では,メディア芸術祭の賞としての価値を高めるということ。それからメディア芸術祭に新たに新人賞を創設する,あるいは「メディア芸術プラザ」を拡充するといったような方策の検討について記述がございます。
2つ目の【は,メディア芸術祭の開催機関と同時期に関連イベントを集中して行うような連携,また地域におけるメディア芸術の鑑賞機会の充実といったことの記述がございます。
[2]は,「メディア芸術に関する貴重な作品・資料等のアーカイブの構築」です。
1つ目の【は後段のところで,計画的・体系的な収集・保存(アーカイブ)を行う必要があるということ。そのためには公的支援が不可欠だということ。
次の【では,その対象となる分野の性質の違いを踏まえた方策の検討が必要だということ。
3つ目の【は,各分野の作品や資料などの所在情報の集積が必要だということの記述がございます。
[3]は,「新人クリエイターによる発表の場の創設等の人材育成の強化」です。
1つ目の【では,Web上に新人クリエイターの作品発表の場をつくる,あるいはクリエイター同士のコラボレーションといったことの記述がございます。
2つ目の【は,「見せ手」(キュレーター,プロデューサー),それから「受け手」(鑑賞者)の育成が大事だということ,そしてメディア芸術に関する専門的知識を有する職員の育成,あるいは大学におけるインターンシップということの必要性の記述がございます。
[4]は,「産業や観光面の振興,研究機能の強化及び国内外への情報発信」です。
1つ目の【では,メディア芸術について観光や国際交流の促進に大きな効果があるということ。関係団体等の連携・協力体制の構築が必要だということ。
2つ目の【は,メディア芸術に関する分野横断的な研究を振興すること。それから研究機能を強化するための仕組み(インスティチュート)の構築が必要であること。
3つ目の【は,外国の既存のイベントを活用するとか海外からメディア芸術分野の留学生,研修生などを受け入れるというようなことの記述がございます。
[5]は,映画の振興でございます。
1つ目の【は,芸術性を主眼とすることの多い非商業的作品の振興のための製作費等の直接支援が必要だということの記述がございます。
次のページにとびまして(3)は,「美術分野」でございます。
[1]は,「博物館の管理運営方策の充実」でございます。
1つ目の【では,コミュニケーションや感性教育,地域ブランドづくりの場といった多面的な機能を備えた新たな博物館像の形成が重要だということ。国としても新たな機能に着目した支援の充実が必要ということ。
2つ目の【では,ミュージアム・アドミニストレーターというような専門職員,あるいはコンサベーター,レジストラーなどの養成のための研修制度の充実ということ。
3つ目の【では,我が国博物館の倫理規程の策定の必要性。
次の【では,エデュケーターの配置の促進といったこと。
最後の【では,国として博物館が指定管理者制度を導入する際のガイドラインの作成,それから寄附金などの外部資金の獲得努力が必要だということ。国として博物館に対する公的支援の拡充,寄附税制の充実,それから登録美術品制度の利用しやすい制度への改善といったことの記述がございます。
[2]は,「美術作品等の鑑賞機会及び美術作品制作等への支援の充実」でございます。
1つ目の【は,国家補償制度の導入,法制度を実現することが急務だということの記述です。
2つ目の【は,アートフェスティバルの国内開催への戦略的な支援,美術作品の制作活動等に対する効果的・効率的な支援の検討が必要だということの記述です。
[3]は,「アートマネージメントに関する人材の育成」です。
展覧会の企画,必要な資金の収集,事業評価などに求められる資質・能力を培うようなアートマネージメントに関する人材の育成が大事だということの記述です。
[4]は,「美術関連資料のアーカイブ戦略」です。
1つ目の【では,美術関連資料を適切に保存し,データベース化を進めるということ。それらの公開・活用を図る必要があるということ。それから所蔵作品の目録(資料台帳)を整備することが急務だということ。こういうことによってアーカイブを進めることが求められているということ。
2つ目の【では,いわゆるMLA(博物館,図書館,公文書館)の連携を促進する必要があるということ。学芸員,司書,アーカイブに関する専門職員(アーキビスト)の相互交流が求められるということの記述がございます。
(4)は「くらしの文化分野」でございます。
ここでいう「くらしの文化」というものは「生活文化」と「国民娯楽」に関して,とりわけ衣食住に関する文化を重要な対象領域として取り上げて,生活に根ざした文化を「くらしの文化」として包括的にとらえるということで,伝統的な「くらしの文化」の保護と伝承を図りながら,現在・未来の創造活動によって形作られる「くらしの文化」の振興を図るということの記述がございます。
[1]では,「くらしの文化」に関する調査研究の推進でございます。
1つ目の【では,「くらしの文化」の明確化,それから活動の一元的なデータ化,国としての基礎資料をまとめる必要があるということ。
2つ目の【では,「くらしの文化」についてもアーカイブが必要だということの記述がございます。
[2]では,「くらしの文化」の担い手・団体の育成・支援でございます。
2つ目の【では,生産過程で必要となる伝統的な技術・技法を保持する継承者の養成,それから子どものときから実体験の機会を充実するということ,きっかけづくりにおいて学校教育の場の活用が必要だということ。
次の【では,地域資源の発掘や団体の立ち上げに対する支援策がいまだ不十分だということで,その拡充が必要だということ。それから税制優遇や顕彰などのインセンティブ設計の検討が必要だということの記述がございます。
[3]は,「創造都市の推進と創造産業の振興」です。
1つ目の【では,国として税制優遇などによるインセンティブの設計,あるいは阻害要因の除去ということが必要だということ。
2つ目の【では,創造人材の集積を促す必要があるということ,それからアーティスト・イン・レジデンスの環境整備,あるいは芸術祭などのイベント活用も有効だということの記述です。
3つ目の【では,創造産業を文化政策の一環としても一層の振興を図っていく必要があるということ,その際に社会保障の充実であるとか知的財産,契約に関する教育も重要だということの記述です。
[4]は,「観光振興や文化発信に資する環境整備」です。
1つ目の【では,「くらしの文化」を残しながら地域を活性化していくということで,雇用の創出にもつながるというような記述がございます。
2つ目の【では,広域連携による取組への支援が大事だということ。
次の【では,「くらしの文化」に関する情報を含めて観光に関する情報を外国向けのポータルサイトとしてつくっていくということが有効だということ。また,在外公館ですとか海外駐在員等の協力を得ることも有効だということの記述です。
それから最後(5)が「文化財分野」でございます。
[1]は,「文化財の公開・活用の促進及び地域活性化に資する文化財の魅力の再構築・発信」です。
1つ目の【では,文化財の公開活用についてはこれまで以上に積極的に取り組むことが必要だということ。
2つ目の【では,魅力ある活用環境の整備ということ。安全性の確保,それから様々な施設の整備とともに,文化財の魅力を伝えるための人材育成や活動を続けていくための組織づくりが重要だということ。
4つ目の【では,「歴史文化基本構想」の策定を進めて,この方針に沿って地域の文化財の保存・活用を図るということと,その支援を充実するということの必要性です。
[2]は,文化財の持続的継承及び文化財保護に対する理解増進です。
1つ目の【は,保護対象範囲の拡大,周辺環境を含めた保護の措置を講ずる方策の検討。
2つ目の【は,適時適切な修理,防火・防犯・耐震などの防災対策の取組,そのための支援ということ。
3つ目の【は,次代を担う子どもたちが,伝統文化や文化財について理解を深めるための教育に親しむ機会の充実といった事柄。
次の【では,市民やNPO法人,企業,人材育成を担う教育界などの幅広い参画による文化財保護の取組が重要だということ。また,国指定文化財への税制優遇の一層の充実,またNPO法人,公益法人,企業などが地域で行う文化財の保存・活用への取組についての様々な支援の仕組みについての検討について記述でございます。
[3]は,無形文化財や文化財を支える技術・技能の伝承者等の養成です。
ここでは,裾野の拡大や研修機会の充実といった,新たな養成の仕組みや支援の充実が必要だということ。
2つ目の【では,無形の文化財や文化財を支える技術・技能の伝承者の裾野の拡大が必要だということの記述がございます。
[4]では,文化財を通じた国際協力・交流の推進です。
1つ目の【では,文化遺産国際協力コンソーシアムの強化といった事柄。
2つ目の【では,海外での文化財の保存修復活動を通じて現地での人材育成が必要だということ。
3つ目の【では,海外の文化を理解するための取組の強化が必要だということ。また,日本の伝統文化を戦略的に海外に発信する取組が必要だということ。
[5]では,文化財行政における各主体の役割と連携です。
1つ目の【では,こういった取組については国が主導的な役割を果たすことが必要だということ。
2つ目の【では,文化財を総合的に把握し,保存・活用を図ることが重要だということ。そして地域振興や地域コミュニティの活性化にもつなげていく必要があるということ。
3つ目の【では,国や自治体,地域の人たち,NPO法人等の相互連携が必要だということ。
こういった事柄についての記述でございます。
簡単ですが,以上でございます。よろしくお願いします。
・意見交換
【田村部会長代理】
ありがとうございました。それでは各分野における重点施策に当たる第2の2について,ご意見をいただきたいと思います。
【増田委員】
先ほど平田参与から大変有効なお話をいただいたのですが,こうやってずっと朗読を聞いていますと,どれも一応必要なものが全部網羅されているんです。今までの議論でもそうですが,文化関係の施策というのは大変長期的にちくちくとやっていかないとなかなか効果が出てこないと,一括重点式というのはなかなかなじまないことが多いということがいわれていて,平野にぽつんと50階建てのビルを建てる形式で重点的施策をするのか,あるいは富士山型に裾野の広いという形で重点的施策というのは見せるのかということは,すごく問題が出てくると思うんです。だから実際に効力のある文書をつくるために,新しい政府に対して説得力のある文書をつくるためには,我々としてはどういう順番づけをしなければいけないのか階層づけが難しいし,重点化というのも非常になかなか困難なところがあるという感じがします。私はそこにいいアイデアがないので何とも歯がゆいのですが。
それからいろんな文案で「一層の充実が必要である」という形が人材の養成などでも出てきていますが, 私たちがNPOで一番困っているのは,実際にNPOでも海外の文化財も支援できるような技術者を養成する研修を始めていて,さて,この人たちが今の形だと契約職員として3年間はどこかに何かうまく行けるかなと思うのですが,その3年間以降はどうも我々予定が立たないということだと,一生懸命研修に来てくれた若い人がどうやって説明をしようかというところがありますね,ですから人材養成というのは必要なのですが,その先までずっと活躍できる場を確保するためには,重点施策でバントするというのはなかなか難しく,例えば極端な話をすると重点施策をしろといって,予算をどこかに集めろというと一番簡単なのはハコモノをつくることが一番簡単な考え方なのですが,それは我々,政府,地方もやってきたことなので,そうではなくて重点というのはどういう表現をして,どういう具体策をつくっていくのかは悩ましいことではないかなというふうに,文化庁当局でも思うのですが。
以上です。
【田村部会長代理】
ありがとうございます。なかなか難しいというのは本当に実際,私も地方で携わっていて同感でございます。地方と都会の格差の中で何を,多彩に質の高いものを提供していくかということは,地方の文化育成のためにも必要かなということは常に考えておりますが,なかなか簡単ではないということは確かでございます。重点施策として何をするのが今一番大切かということを,ぜひ提言していただければと思いますが,いかがでしょうか。
【高萩委員】
先ほどの骨子の一番最初のところになるのですが,3つ目の「本部会としては,本報告に対し今後意見募集を実施し,広く国民や文化芸術団体から頂いた意見を踏まえ,さらに審議を深め」となっていますが,つまり中間報告を,いったんパブリックコメントを募集するということなんですよね。
【大木政策課長】
中間報告を総会に対して出していただいたあと,答申までの間に外部の意見を聴取するという,こういうことをイメージした手続でございます。
【高萩委員】
となると,増田さんがおっしゃったことでいうと,多分今ワーキンググループで話し合ったことについては,「こういうことが話し合われていますよ」というのをいったん世の中へ出すことによって,パブリックコメントがそこに各部門ごとに出てくる。その中からやはりもう一回,重点支援のところへ中間報告として「ここを重点」というのを何か引き出す。,今のはそれぞれ各ワーキンググループとも3回ずつやって話し合ったことなので,この形になるのかなという気はします。
【田村部会長代理】
ちょっとおうかがいいたしますが,パブリックコメントの前の中間まとめがございますね,それが概算要求にはね返ってくるということでございますよね。
【大木政策課長】
段取りとしてはそうなろうかと思います。
【加藤委員】
各ワーキングでいろいろ出てきた意見を,先ほどの重点施策に共通するものは置いたということでとりあえず理解していて……そのとおりだと思うのですが,一つは共通するものについて重点施策にv置いていくという考え方,これは大事なことで,そういう意味でいうと,例えば観光振興と文化振興を結びつける施策みたいなことについては,まだ全体の重点施策の中に盛り込み方が例えば弱いかなという点がありますね。
創造都市の推進についても「くらしの文化」の中に出てきてすごく細かく書かれているのですが,重点施策の中には十分繁栄されていないということが一つあると思うのですが,あるいは各分野の中で議論されたこと,一つの分野だけでしかほとんど議論されていなくても,実はその中で重要だと思うものについては重点施策に落とし込むべきだろうと思うのです。
高萩さんの言われたそれからパブリックコメントも取ってというような話,もちろんパブリックコメントはきちんとやるのでしょうが,そういうプロセスを経るとしてもここで個々個別の重点分野での話として出すよりは,私はその中で重要なものについては幾つかもう本当に選択をして,きちんと全体の重点施策の中にもっと強く入れ込まなければ予算要求,その他についても効力を発揮しないと思うのです。ですからもう一回各分野で重視されておられることは,これはこれで貴重なことなのですが,余り各分野ごとのというところを強調し過ぎないで,全体の文化施策としてこれらを重点施策に置いていくんだという決め方をしていかないとならないだろうと思うのです。
そもそもこのワーキングが行われたときにも私は懸念を表明していたのですが,こうして既存の分野ごとの分け方でやると全体像が見えにくくなるのではないか,だからワーキングが終わった段階で一度整理をして,その中から何を抽出するのかという議論が,現在やっているのがその議論だということで理解しますが,余りにも分野別にこだわり過ぎないほうが共通した施策として,しかし重要なもの,具体的にということをもっとやっていく必要があるのではないのかなと思います。
【吉本委員】
各分野別のところは前回ワーキング会議の議論のまとめがあって,その案に基づいてまとめていただいているので,分野別に記述するとこういうことになると思いますし,それぞれ中に重要な施策が入っていると思うんです。ですので,やはりこの構成でいうと第2のところをどう書くかというのがやっぱり一番重要だと思っていまして,前回私が意見を申し上げた共通する部分を出すとしたらということで,今既に入っているものもあるのですが,ひょっとしたら漏れるかもしれませんが,私は6つだというふうに思っていたんです。
順不同ですが,1点目は,アーツカウンシルに代表される支援制度を抜本的に見直して新しい仕組みや体制をつくるということ。
2点目は,国際発信を強化するためにフェスティバルとかトリエンナーレのようなことを推進すると,これはメディア芸術祭なども含めて分野を超えた課題だと思います。
3点目は,文化施設の拠点の整備のことです。これは劇場法のこととかも入っていますが,劇場に限らず美術館,博物館などもそうだと思います。
4点目が,アーカイブの問題です。これは国がちゃんと蓄積をしていかないとだめだと思います。
5点目が人材です。これは文化財の伝承者とか文化財のところにも入っていますが,そういうものを含めてです。
それから6点目が,先ほど加藤さんがおっしゃっていた観光とか産業とかあるいは都市政策とか,要するに文化政策以外の分野とどうやって連携をして国の政策の中心に据えていくかということ。
この6つぐらいかなと,さらに共通しないものもあると思いますので,それに加えて各分野独自の重点施策というようなことを,もし加えるとすれば7つになると思うのですが,その7つで本当にいいのかどうかはもっと議論しなければいけないと思うのですが,そういう出し方をこの第2のところで具体的に出すといいのではないかと私は思いました。分野別のところは本当に議論を重ねてそれが入っているので,この中でどれが重要で,どれが重要じゃないかということはなかなか区別できないと思うので,共通することを重点施策として出していくというほうが私はいいかなと思いました。
【田村部会長代理】
西村委員どうぞ。
【西村委員】
いや,私も同じ意見を言おうとしたんですが,この分野というのはある意味縦割りの分野で役所の分担しやすいような文になっているのだと思うんです,それに横串を刺すようなものがやっぱりどうしても必要で,それは先ほどから出ているような観光であったり,私は都市の分野なので,都市政策などは本当にそうなんです,都心再生とか中心市街地の問題って,やっぱり文化とかそういうものをこれから本当に真剣にやっていかないと再生ができないんですよね。欧米なんか見ているとそういうところを都心は再生しているわけなんです。そうすると,そういうものの見方はこういう分野分けをすると出てこないわけなんです。
そういう意味でいうとまだ議論が足りていない部分があって,それは共通して今お話があったような部分をもう一回やり直さないと出てこないと思うんです。ただ,問題はそれは多分文化庁だけでは担いきれない問題なので,その広い絵の中でどこを分担するかは次の議論だと思いますが,いずれにしてもそこがどうしても必要なのではないかというふうに強く思います。
【田村部会長代理】
本当に進めるべき重点戦略をきちんと書いたほうがいいのではないかという皆様のご意見でございますが,他にございますでしょうか。
【浜野委員】
全く同じ意見です。専門家の方が議論されたことは十分詰まっていてそれでいいと思います。例えば個々に指摘されていて前のほうに出ていないもももある。例えば人材育成でいえば,「文化芸術を支える」と書いているのに芸術のクリエイターのトップの方を育てることしか書いていない。本当に見巧者がたくさんいれば先ほど田村先生のおっしゃっているようなことは解決するわけです。優れたアートを鑑賞する人とか文化に理解ある人の存在が必要です。例えばフランスのパリではクーラーの室外機はつけられない。そういった不便さを人々は受け入れて景観を守っています。金沢では車の入らないところもあり,それを市民は受け入れて,文化に対する理解とか文化を守ろうという意欲があって,金沢は維持されている。
文化芸術の文化を支える人材をどうされていくかということが書かれていない。日本には優れたクリエイターはさくさんいると思います。クリエーターだけでなく,見る人たちを育てるというところに言及してもらいたい。個々にはたくさん言及されているのですが,前に出ていなし。私はそれが人材育成での優先順位が高いと思うので,横串を刺したときの共通項が欠落していてインパクトが弱いのではないかと思います。
【田村部会長代理】
他の方は何かございますか,里中委員。
【里中委員】
今の浜野委員の意見に自分なりに付け足してなのですが,これは文化庁の政策ですよね,だけど本当に国として今後文化というものを育てて,先ほどキャッチフレーズがほしいという話がありましたが,やっぱり「文化芸術立国となるのだ」みたいなものを前面に打ち出すのであれば,これは文化庁だけの問題ではなくて見巧者がどうやって育つか,武満徹の音楽の深さがなぜわかるのかというと基礎教養があるからなんですよ,基礎教養があるということは何かというと,子どものころからそういう分野の教育がなされていてしかもそういう部分,いわゆる点数には反映しないかもしれませんが,そういうことをきちんと知り,また,身につけることが人間として成長に必要なことだとみなされる社会においては,芸術を愛せる心,文化を愛せる心,育てる心というのが育つわけで,結果的にまたそれが経済効果を生んでいるわけですよね。
クリエイターがいくらいても仕事にならなければ生活できないわけですよ,若手を育てたとしても,その育った若手が経済活動ができないような状態では,やはりその分野は魅力的になり得ないわけです。ですからそういうことを楽しむ,そういうことのためにお金を出す人が多ければ多いほどその国の文化というのは豊かになるわけで,だから長い目で見ればやはりこれは文化庁だけの問題ではなくて,文科省全体と,他省庁との連携も必要なのではないかと思います。
こういう場合,各省横断的にやっていかなければいけないことを文化庁だけが一生懸命やるというのもこれはとても大変で,またそこに前提となる予算の少なさというのが,どうしても大きな壁になってはね返ってくる。ただし,こういうことはこのご時世だからいうのではなくて,金銭的な援助さえすればその分野が伸びるかというと決してそうではないんですよね,そこはやっぱり強調しなければいけないと思うのです。若手の人材を育てるといっても生活の援助をするのでは何もならない,その人たちがたとえ貧しくても力をつけたときにそれに見合った収入が得られる観客が見込まれる社会,だから繰り返しになりますが,見巧者がふえる,文化を愛でる人がふえるということが文化を育てるのだと思います。
ですから,長い長い取組になると思うんですよ。3年,4年でどうにかなることではなくて,小学校の学校教育の内容からちょっと見直していかなければ,本当の文化芸術立国にはなり得ないと思いますので,これは我が国が新しく世界に誇る,本来持っていた文化と芸術で成り立っていく国になるための100年計画の第一歩であるというぐらいの大げさな,100年後だれも生きていないからどうなったって知らないやというのではなくて,やっぱりこういうのをつくって世間に出すときに,100年先に責任をとれるかどうかということを肝に銘じてつくる必要があると思いますので,堂々と自信をもって100年計画の第一歩で,しかも文化芸術立国として我々は世界に誇る国となるのだと,そのためには日本の過去の文化の見直しも必要ですし,先人たちはどうやってきたのかということももちろん必要ですし,ということをひっくるめて何かどっかの代理店が売り込むためのキャッチコピー満載の,もうちょっとページは少なくてもバンと何か,一般から意見募集をするのであれば何か胸がわくわくするようなコピーが必要だなと思います。
【田村部会長代理】
ありがとうございました。他にご意見はございますでしょうか。
【坪能委員】
人材育成の延長のお話なんですが,今度のこの文章をずっと見て一般の市民といいますか,まちにごく普通に住んでいる人で,一番関係があるのは子どもたちの優れた芸術の箇所だけだろうと思うのです。あとは二の次かなという感じがするのです。ここのところは非常に書き方が弱いものですからしっかり書いておいていただきたい。「奨励がする必要がある」とおっしゃっているのですが,これは人口1万人前後の小さな町や村の子どもたちも,一千万都市の子どもたちも子どもは子どもなので希望している子どもたちがいっぱいいると思いますので,格差が生じないような工夫をしながら実施するとかはっきり書いていただきたいと思います。
また,その次の【のところには「コミュニケーション教育」とあります。それから文化芸術普及活動の実施,これは活動を工夫して実施する。「実施したりすることが有効」などというのではなくて,「やる」と書いていただきたい。それからアーツカウンシルの導入もこれも「する」と,ここではどういうふうになるかといいますと,ここは文化の審議会ですから教育には実際にどうこうという話は直接的には影響しないのですが,皆さんのお話と同じなのですが,まず子どものうちにいろんな文化財の大切さだとか伝統芸能のよさとか,海外のすばらしい文化をとにかく身近に感じるという機会の時間が少ないともうそれはそれだけでもって人材は本当育成しそこなっていると思っているのです。
その時間枠を学校でつくるといったらこれは容易なことではないわけなのですが,学校と一緒にやるということはそのくらい省と省がぶつかるくらい大変なことだと思うのですが,この文化審議会では,やはり学校で子どもたちに文化について教えるということは避けて通れないと問題だと思うんです。文化審議会でも学校での人材育成という話があった,ということを教育関係の審議会に伝えないといけないと思っています。
あと,私たちの回りでは,アーカイブに対する感覚が非常にみんなにぶい,と思っています。ここでは美術のほうとか博物館のほうの話はありますが,アニメのほうでもそういうアーカイブスは当然大切にされると思うのですが,我々音楽家のほうも自筆楽譜というのがあるのですが,私どもの団体は80年海外とやっている芸術団体の作曲家団体ですが,とにかく管理が弱い。日本の新しい文化財としての価値があるにもかかわらず,どこが管理をして整理してくれるのかもうばらばらで,それに対する予算をつけてもらえませんので,やりっぱなしという感じになっているようです。次世代に伝えるには日本でこれまでに生んだ国際的に通用するたくさん財産があるので,そういうことに対する感覚を大いに宣伝していただきたいと思っております。
以上です。
【田村部会長代理】
ありがとうございました。
【吉本委員】
里中委員と坪能委員のご意見を聞いて先ほど私がランダムに挙げた中から重要な子どものことが抜けておりましたので,それも柱として立てる必要があるかなと思いました。それとあと,これは事務局への質問になるのですが,先ほど平田参与からある種工程表のようなものがないと予算要求に耐えないのではないかということについてです。これは2次の基本方針の策定のときにも同じような意見交換があって,基本法に基づいた基本的な方針というのは,いわゆる基本計画ではないのでそういう具体的なところまで折り込む性格のものではないというような議論があって,あれがまとまったということがあったと思うんです。最終的には基本法に基づいているとそうなるかもしれませんが,文科大臣からの諮問書をよく見ると,「策定に向けて」と書いてあるので最後はそういう文章になるにしても,やはり来年度の予算要求とかを考えると,ある程度工程表というか何かそういうものも併せて出していったほうがいいのではないかなと私は思うのです。その辺事務局はどういうふうに考えておられるのか最後に質問をさせていただきたいのですが。
【大木政策課長】
工程化をしっかりすべきだということに関しましては,もうこの議論を始めた当初のころからこれはあったわけでございまして,最終的に答申という形でもってご議論をいただく際には工程化を明確にということは我々も念頭においております。ただ率直にいいまして,概算要求の時点でもって何年先までこうかということをどこまで書くのかということは,実は余りそこまで念頭になかったということで,ただ重点として挙げるからにはかなりスピード感をもってやっていかなければいけないかなと,実はこの程度の工程感できているというのが率直な,私個人の頭の中ではその程度ございます。
【平田内閣官房参与】
その点について,要するに優先順位を決めていただきたいのです。優先順位を決めるということが工程表を決めるということですよね,だってここに書かれたことは皆さんやるべきことであって,もうこれには異論はないと思うのです。でも私たちはこれの優先順位を決めていかなくてはいけないので,だとすれば例えば人材育成に関して実演家だったらばフランスのアンテルミタンのような最終的な保障制度が理想ですが,これを来年から実施するということは無理です。
そうすると,優先順位として若手の育成,要するに奨学金的なものをふやすのか,もう少し実演家を安定させるのかというようなことの優先順位をまず決めて,最終的に10年後には社会保障制度を実現させましょうというようなことになっていくのだと思うんです,そこをやはり書いていただかないと,なぜこれなんですかということができない,まして若手の育成が大事です,実演家の生活保障も大事です,老後も大事ですと全部並列で書かれると,文化庁は何やりたいんですかということになってしまいますね,これはもう行政の方のほうがよくご存じだと思いますが,とにかく弾が欲しいわけです,予算が伸びる余地はあるのでそれをやはりきちんと出していただきたいということです。
さらに,もう一つは,優先順位だけではないのです,競合しない部分もあるのです,要するに拠点形成ということと,例えば美術館でも劇場でもそうですが,拠点を決めていて集中して支援をするということと,それ以外の小さな美術館や劇場がコミュニティスペースとしての役割,アウトリッチに専念するようなコミュニティスペースとしての役割を果たすことは,これは競合しない分野なのでこれは階層化です。この面的な階層化と時間的な工程表の両方をきちんと出していただきたい,それが今どの府省でもやっていることなので,ぜひそれをお願いしたいということなんです,それがないと全く相手にされないということです。
【小田委員】
そのとおりで,我が国にすればやっぱり国づくり,これを文化発信をしていくと,こういう持ち出し方が絶対に必要だというふうに,私,信念をもって申し上げておきたい。その中で当面,作戦的にどこを重点的にどういう方向できちっとやっていくのかということが,求められるのではないかというふうに思います。
私も帰れば予算編成を責任持って上程をしなければならない,限られた財源の中でおさめていかなければいけない,その中でメリハリをつけていかなければいけない。そして基本的にはやっぱり文化力をつけていく,落ち着いた街並みを形成していくと,こういうことを基本にして,例えば私はこの小さな小さな長岡でオペラを開催しますと,しかしぜいたくな音楽です。そのために企業の支援をいただく,ある投資家のご寄附もちょうだいする,そのための努力をする,そして足らない部分は我々のほうで,そして本来ならこれだけかかるという経費を割安で多くの市民の皆さん方に提供する。これを象徴的に実はやらせていただいています。ということは,オペラに関係のないそれぞれの文化に関係する皆さん方からも実は拍手をいただいている,こういうことではないかと。そしてそれが今の現在を生きる市民の文化と。
過去の文化については文化財という視点で今後整備を,来年からいよいよ整備をさせていただく。古墳だけを整備するのではない,まちづくりの一環として整備をするのですと,そういう展開をひとつ描きながら当面の具体策と,そして将来の文化力を目指すと,こういう考え方を具体的にさせていただいて,そのことは申し上げてきたのですが。
これから大きい視点での我が国日本のこれから生きる道と,そして求めていく社会ということを考えますと,先ほど出ていましたように文化庁ではなしに,はっきり文化省を目指すと,そのことをはっきり,そして日本として文化・芸術立国の実現を目指すと,そういう一つのテーマのもとに当面の重点策の展開ということが必要ではないかなと,そうしますと2番目に書いてあります重点施策という中で横串を刺す横断的な方策というものは,やっぱり少し整理をすることが必要ではないかと思います。
以上でございます。
【田村部会長代理】
皆様から全体を通してのご意見もいただいておりますので,時間も迫ってまいりましたので,きょうはこの辺でということにさせていただき,最後に平田参与からお話をいただきます。
【平田内閣官房参与】
勝手なことばかり申し上げて申しわけありませんが,とにかく予算をふやす最大のチャンスです。それからもう一点ちょっと言い忘れたのですが,最大のチャンスであると同時に新政権として予算がつくれる最後のチャンスです。ということは,今までの政策は間違っていたと言える最後のチャンスなんです。ですからそのことをやはり書いていただいて,どこが問題なのかと,どこが問題だったからこう変えるんですというふうに書いていただいたほうがいいです,それが書けるのもこの来年度予算が最後なんです。これまでの文化政策にたくさん皆さんご不満があったと思うのです。そこをきちんとぶつけていただいて,ここを画期的にこう変えますよというところを出していただいたほうが,内閣府としては多分受け取りやすいのではないかなと思っております。よろしくお願いいたします。
【青柳委員】
ひとつよろしいでしょうか,次回おりませんので。
今,省あるいはカウンシルがあったのですが,それがちょっとトーンダウンするかもしれませんが,科学研究費の場合に日本学術振興会というところが約2,000億円近い科学研究を扱っておりますね,ああいう組織で文化芸術に関しての日本文化芸術振興会みたいなものをつくって,そこである長期的なストラテジーを持ってやっていくと,そして文化庁のほうは時々に応じて迅速に対応するというような組織づくりというものも考えられないのかということをちょっと思いついたもので。
【田村部会長代理】
ありがとうございました。日本芸術文化振興会とか公立文化施設とかそういうものがベースになってはなど,アーツカウンシルのようなものというご意見は議論の中にあったと思いますが,お話を承ってまた検討させていただきます。
間もなく時間となりますので,本日の議論はこのあたりにいたしたいと思います。次回,第7回の部会は,本日も審議いただいた審議経過報告の素案について審議したいと思っております。事務局におかれては本日の議論を踏まえて,修正した資料をご準備いただければと存じます。次回は,来週24日というタイトなスケジュールでございますが,委員の皆様には引き続きご負担をおかけいたしますが,よろしくお願いいたしたいと思います。
最後に,事務局より今後の日程をご確認いただき,第6回の文化政策部会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
【滝波企画調整官】
それでは,今後の日程でございます。お手元に資料3というのがあると思いますが,この政策部会の当面の開催予定でございます。
次回,第7回は,5月24日,(月),14:30から16:30,場所はこの場所,東館3階の特別会議室ということでございます。
その後は第8回の会議が6月2日の(水),14:00から16:00で同じくこの場所で開催を予定してございます。
きょうの議論を踏まえてまた事務局のほうで少し修正案も考えました上で,また次回の会議資料を用意したいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。
17:00 閉会